引き出しの中を片付けていたら花札が出てきた。
確か安土桃山時代辺りにポルトガルから伝わったカードゲームが
時代を経る中でアレンジされ、日本のカードゲームのカード、花札として定着したものだ。
十二種の季節の花を書いた札が4枚ずつあり、48枚でワンセット。
私は、全く花札の知識がなく、遊ぶことはできないのだけれど、
子どもの頃から、この絵柄に惹かれ、眺めるだけのために花札を買ってもらったことがある。
全て床に並べ、特に好きな絵柄を組み合わせながら、
その風景に合うストーリーを脳内展開させながら遊んでいた。
親戚などが集まると、私の花札を貸してほしいと言われることがあったのだけれども、
私のカードを汚さないで、雑に扱わないで、と内心ハラハラしながら、
大人たちの花札遊びをそばで監視していたように思う。
母には、私が花札の安否を気にしているようには見えなかったのだろう。
何を勘違いしたのか、花札ゲームの場から私をさり気なく引き離そうとしていた。
母上、心配ご無用。未だに花札のルールは存じ上げぬままなので。
と言ったところで、もう当時のことなど覚えてはいないのだろうけれど。
現在、私の手元にある花札は3代目くらいのものだろうか。
大人になってから手に入れたものということもあり、
雑に引き出しに入れてあるわりに、良いコンディションだ。
久しぶりに箱から取り出し、リビングのテーブルの上に並べた。
目に留まったカードは、この時季の花でもあるススキと月が描かれたもの。
シンプルだけれどもインパクトがあり、外国人の友人たちからも人気があった1枚だ。
ススキは古より親しまれてきた植物で秋の七草のひとつでもある。
ススキが一斉に風になびく姿は、
『その者蒼き衣を纏いて金色の野に降りたつべし。』
あの名言を思い出すこともあり、派手さはないけれど不思議と印象に残るように思う。
あまり知られていないのは、ススキには白や赤、黄色や緑といった花が咲くということ。
ふわふわとした狐のしっぽのような状態になったときには、
既に種子ができている状態なので、
花を愛でたい場合には、ふわふわになる前の状態を観察する必要がある。
花が咲くのだから花言葉なるものも当然お持ちの植物。
前向きな花言葉が多く、その中には「心が通じる」、「想いが届く」といった花言葉もある。
気心知れた大切な方へ贈るアレンジメントなどに入れると、
季節感と想いの両方を粋に添えられるシブい花でもある。
ただ一つ、ススキはイネ科植物なので、イネ科植物の花粉症をお持ちの方は、
アレルギー反応を起こす場合があるため、ご注意を。
日に日に秋が深まる今日この頃。
「もう冬?いつの間に!!」と焦る前に今年の秋も、欲張って感じてまりましょ。
関連記事: