時々、お茶を普段よりも丁寧に淹れたくなることがあるのです。
簡単なことではあるのだけれど、ちょっとしたひと手間を加えている時間だけは、
頭の中の思考がすーっと消えて、目の前の動作のみに集中できるように思います。
そして、お茶の香りに誘われて、体中がほっと力を緩めるのです。
移り行く季節も手伝って、今夜はどの茶葉をいただこうかしらと、
秋は、そのような小さな楽しみが増える季節でもあります。
大きな楽しみも良いけれど、ありふれた日常の中にある小さな楽しみを、
ひとつ、またひとつと、集めていきたいと思う今日この頃でございます。
少し前に洗剤の匂いが移りやすい急須などのお手入れには、
どのご家庭にも常備してあるであろう「お塩」がいい仕事をしてくれる、
というお話をさせていただいたのですが、
先日、急須の中にあるステンレス製の網カバーや
ステンレス製の茶こしのお手入れ知識を得る機会があったのです。
網カバーや茶こしは、丁寧に洗っていても、目が詰まってくることがあります。
これは、茶葉に含まれているペクチンが糊のように少しずつ付着するからだといいます。
私は、古くなった茶筅(ちゃせん)の先を軽くカットしたものを「ささら」として使い、
網カバーや茶こしをシャカシャカッと洗っております。
ちなみに、「茶筅」は、茶道でお抹茶を点てる時に
シャカシャカ、シャッ、シャッとするための、皆さんもご存知の、あの道具で、
「ささら」は、竹や細い木などを束ねて作られた洗いものをする際の道具のことでございます。
ささら以外にも歯ブラシも使っているのですけれど、
正直、思うようにペクチンや茶あかがスッキリと取りきれないことが、
ワタクシの、ちいさな、ちいさな、キッチン気がかりの一つです。
漂白剤や専用洗剤などを使うのも手っ取り早くて良いのですけれど、
あまり気が進まず、コレだ!という方法を何となく探し続けております。
久しぶりに、そのようなことを思い出しまして、知人に話しましたところ、
「燃やしちゃえばいいじゃない」と目を丸くしてしまうような答えが返ってきたのです。
なかなか、興味深いお手入れ術だったため、
本日のお話コードを「ちいさな、ちいさな、キッチン気がかり」とさせていただこうと思っております。
お時間ありましたら、お付き合い下さいませ。
早速、そのお手入れの手順をご紹介します。
【お手入れ】
【1】この方法には火を使いますので、使用できるのはステンレス製の網カバーや茶こしのみです。お試し前には必ず、網カバーと茶こしの素材確認をしましょう。
【2】網カバーや茶こしをペンチなどを使って握ります。この時に使用するペンチなどは、握る部分に熱が伝わらないようなものを使用してください。
【3】ガスコンロの弱火で網カバーや茶こしの汚れを焼きます。少しずつ場所を変えながら焼きます。この時、ステンレスが赤くなりますが、赤くなると十分汚れが焼ききれています。網カバーや茶こしを、うっかり落として火傷や火事にならぬよう、細心の注意を払って下さい。
【4】しっかりと焼いた網カバーや茶こしを水洗いをし、歯ブラシなどを使って汚れの燃えカスを落とすイメージで洗い、しっかりと乾かします。
焼いている時は火の取り扱いに注意してくださいませ。
出来れば、同じくステンレス製のボウルなどにお水を用意しておき、
危険を感じたら網カバーや茶こしを水に浸けるなどして対処してくださいませ。
私は、網目が細かいタイプの網カバーや茶こしを焼いたのですが、
薄っすらとステンレスが変色しました。
しかし、もともと見えない部分に使うものですし、使用に問題はありません。
網目がスッキリした分、お茶本来の味がクリアに感じられるようになったように思います。
スッキリさせた急須を使って、
普段よりも丁寧に淹れた温かいお茶で一服。
秋の夜長のおともにいかがでしょか。
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