2週間程前に、しばらく紙の処分はしなくて済むと思ったはずなのに、
ちょっと気を抜いた隙に溜まる紙類。
その日は、不要になった紙類を集めるため、
大きなビニール袋を引きずりながら、ひと部屋ずつ巡回していた。
ひと通り集め終わり、何の気まぐれだったのだろうか。
私は、頻繁に覗く必要がない引き出しを開け、
しばらく目を通していなかったファイルを引っ張り出すと、ペラペラと捲り始めていた。
それは、今やる必要がありますか?
どこからか、そのような声が聞こえてきそうな気がしたけれど、
ファイルの中にあった不要な紙を引き抜き、ビニール袋の中に放り込んだ。
随分と軽くなったファイルにニンマリしていると古いパスポートが出てきた。
ご存知だろうか。
パスポートは国の公文書なので個人の所有物ではなく、国の所有物だということを。
だから、期限が切れて使うことができなくなったからといって、
その後、どのように扱っても良いという訳ではないのだ。
パスポートの更新手続きを終えて、期限が切れたパスポートに無効印が押され、
穴があけられたものに限り、個人で処分するなり、パスポートセンターで処分してもらうなり、
記念として大切に保管するなどしても良いとされている。
自分のものではないのだから持ち主に返す責任、
というよりは、持ち主に義務があるということだ。
一度、パスポートの更新手続きをうっかり忘れていたことがあり、
慌ててパスポートセンターへ駆け込んだことがあるのだけれど、
その時に、とても親切なスタッフの方が、そのように教えてくださったのだ。
小まめに更新する手間を省くために10年用を作ればよいのだろうけれど、
良くも悪くも写真を気にして、つい5年ものにしてしまうのは女心というものだろうか。
証明写真というものは、どうすれば、あんなにも凹むような仕上がりになるのだろうか。
一度、笑みを浮かべたようにも見える写真をパスポートセンターに持参したことがある。
決して微笑んだ写真ではなかったのだけれども、
「笑っていないものを」と、取り直しの下命を受け、
全てを諦めたような、残念感漂う顔写真を差し出すこととなった。
あれからパスポート写真を撮るときには、笑って見えないようにという意識が働くのか、
妙にぎこちない写真しか撮れていないように思う。
次こそは、そこそこ納得できるくらいの写真を使いたいものだ。
話しが随分と逸れてしまいましたが、
ご自宅にあるパスポートを扱われる際には、ちらり、思い出していただけましたら幸いです。