秋の装いが街中に増えてきた頃だっただろうか、
友人が真っ赤なコーヒーカップをそっとテーブルに置きながら、
コーディネートとスタイリングって何が違うの?と言った。
そして、口をつけたばかりのティーカップから紅茶をコクッと喉の奥へと流し込む私に、
どう違う?と身を乗り出す様に続けた。
どちらもファッション用語として至る所で使われているけれど、
近年ではスタイリングという言葉の方が、
干ではあるけれど見聞きする機会が多いように感じている。
私も過去に、友人と同じ疑問を抱いたことがあったため、
頭のどこぞやかに眠っている、その違いを久しぶりに引っ張り出すことになった。
今回は、コーディネートとスタイリングという言葉の違いを簡単に覗いてみたいと思います。
何となく分かってはいるけれど、説明しようとすると上手く説明できないという方や、
この機会に言葉の違いを確認しておきたい方、
お時間がありましたら、柊希にお付き合い下さいませ。
この言葉の違いを確認するポイントは、「何をするか」という点です。
例えばコーディネートとは、どういうことをすることだと思いますか。
コーディネートは、お洋服や小物を選び、合せることを表しています。
同じような形のトップスを選ぶにしても、この時季は、夏の素材でも真冬の素材でもなく、
秋に相応しい素材を使ったこのトップスを選ぼう、だとか。
このトップスに合うアウターはこれ、ボトムスはこれ、足元は?小物は?というように
アイテムを選んでいくようなイメージがコーディネートだと言えば分かりやすいでしょうか。
一方、スタイリングとは、選んだもの(=コーディネートしたもの)を
どのようなアレンジで完成させるのか、という点に注目したものです。
例えば選んだもの(=コーディネートしたもの)を2人の方が着てみたとしましょうか。
それぞれに似合うように着る為には、トップスの袖はそのまま?それとも少し捲る?とか、
裾はボトムスにインする?しない?とか、
ボタンはどこまで開ける?全部閉じてしまう?とか、
バッグは肩にかける?斜め掛けする?など、少しずつ着方を変えることで、
着ている人、それぞれに合ったスタイルに仕上がり、
同じものを着ていても雰囲気が変わることがありますよね。
選んだものを、どのように着る人に合わせるか。という視点がスタイリングです。
もっと簡単に言うならば、コーディネートは、お洋服は動かないけれど、
スタイリングは、誰かが着用し、お洋服が動く。というようなイメージでしょうか。
これからの季節は、おしゃれの幅も、アレンジの幅も広がる季節です。
そしてファッションには、お洋服のコーディネートやスタイリングだけではなく、
笑顔や姿勢なども含まれていて、
その人らしさを自由に楽しく表すものでもあると思うのです。
ファッションを纏うこと、色を纏うこと、自分らしさを纏うことを楽しみながら、
言葉の違いもチラリと感じていただけましたら幸いです。