ひと月ほど前だっただろうか。
近場であるにも関わらず足を踏み入れずにいた公園の存在を再認識させられる機会があった。
極度の方向音痴ではあるけれど、私には珍しく、場所の見当がついたこともあり、
脳内換気も兼ねて、ふらり、行ってみることにした。
もちろん、スマートフォン内にあるナビゲーションシステムを稼働させることも忘れずに。
形を変えていく雲とスマーフォンの中を交互に見ながら目的地を目指した。
拍子抜けするほど近くにあったその場所を散策しいていると、
石でできた炉壇を取り出してポンと置かれたようなものがあった。
中を覗き込むとキレイな水が張られていて、
底には萌黄色にほんの少し抹茶を溶かしたような柔らかい色の藻が揺れていた。
まるでロシアンブルーの瞳の中を覗き込んでいるような気分になり、
しばらくの間、飽きもせずに水の中を眺めていたように思う。
平日の昼間ということもあり、公園内をショートカットしていく人が数人目に留まったけれど、ほぼ貸し切り状態。
ベンチに腰掛け、カバンの中からミネラルウォーターとキャンディーを取りだし、
開放的な気分をたっぷりと味わった。
何となく背後の木を見上げると風に揺れるストロベリーツリーの花と色づき始めた実を見つけた。
ストロベリーツリーはイチゴノキと呼ばれることもある、ツツジ科の植物だ。
私たちが食べるフルーツのイチゴとは異なるけれど、
スズランのような可愛い花を咲かせた後、
鈴のように丸い実をつけ黄色から真っ赤に色づかせていく植物。
以前、ウェディングアイテムのデザインをしていたことがあるのだけれど、
その時、このストロベリーツリーの実をアクセントとして使うことがあった。
使い方によってシックにも可愛らしくも変身できる花と実であったことや、
その雰囲気に魅了される方が多かったことも理由ではあるけれど、
このストロベリーツリーの花言葉が「あなただけを愛します」ということも
ウェディングシーンには特に合っていたように思う。
この花言葉は、ストロベリーツリーの英語での学名が
“ストロベリーツリーの実を一つ食べる”という意味を含んでおり、
この実を一つ食べれば身も心も満たされる、と言われていたことに由来するのだとか。
まさか、こんなところで立派なストロベリーツリーの木に会えるとは。
クリスマスシーズンになるとフラワーショップで取り扱われることもあるため、
目にされた際には大切な方へ贈ってみてはいかがでしょうか。
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