ロゴTシャツが苦手だ。
どう着ても似合わない、というシンプルな理由もあるのだけれど、
文字の配置、大きさ、使用するフォント、
その他にも細やかな配慮が施された上で出来上がっているオシャレなものを見つけても、
英語であれば、つい、日本語に訳してしまったりといった余計な思考が働き、
なかなか手に取ることができないのだ。
例えば、外国の素敵な場所の地名などがプリントされているものであれば、
日本の地名に置き換えてみたりして同じようなことだ(厳密には違うのだけれども)と首を横に振る。
文章になっているものであれば直訳し、意訳し、
そのメッセージを胸に外は歩けない、と首を横に振る。
中にはシャレにもならならい、とんでもないメッセージを含んでいるものもあり、
余計なお世話なのだけれど、誰が商品化を許可したのだろうかと思うこともある。
だから、できるだけ人様が着ているロゴTが目に入った時には、
そのオシャレ感だけを目に入れるようにし、
言葉や文章の意味は意識して追わないようにしている。
しかし、見た瞬間に意味が脳内を駆け抜ける言葉というものがある。
そして、“その時”というものは突然訪れるのだ。
その日は2回、胸にSOSと大きくプリントされたTシャツが見え隠れしている方とすれ違った。
どこからどう見たって、SOSを発信しているようには見えないお二人。
それどころか、何かいいことでもあったのだろうかとも思えるような笑みを浮かべていらした。
そのギャップをこっそりと楽しませていただいていると、
ふと、SOSは何の略だったかしらと思った。
もともとはモールス信号で遭難を知らせたり助けを求めるときに使われるものだけれど、
今や世界共通語に近く、一瞬にして緊急事態を知らせることができるインパクトある言葉だ。
思い出すことができずにウィキペディアにアクセスすると、
“Save Our Souls”(我らを救え)や“Save Our Ship”(我が船を救え)の略と言われることがあるけれど、
これは俗説で、この文字列には救難信号以外の意味が含まれているわけではない。
といった内容が記されていた。
私の薄れかけの記憶では、緊急事態を知らせ、助けを求める文章の略だったはずなのだけれど、
この記憶は間違いで、SOSという文字列を簡単に説明するならば、
緊急事態を知らせて助けを求めるためにモールス信号を使う際、
SOSという文字列が一番打ちやすかったということらしいのだ。
ものごとは本来、これくらいシンプルなものなのかもしれない。
そして、私にとってロゴTは、やっぱりハードルが高い!
そう思ったある日の出来事だ。
関連リンク:Wikipedia