どこもかしこもクリスマス色。
普段通りの風景さえもが、気持ちを、るんっと弾ませてくれる、いい季節だ。
それどころじゃないもの。
忙しいもの。
もう子どもじゃないから。
それよりも年末年始の準備が。
違和感を与えることも感じることもなく、そのようなセリフだってさらりと言える年齢ではあるけれど、
それらを理由にして楽しむことを拒否するのは、やっぱり勿体ない。
例えそれが無意識だったとしても。
今年もそう思いながら街中のイルミネーションをワクワクしながら眺めた。
足を踏み入れた食料品のお店で見かけた小さな女の子は、
真っ赤なミニスカートに黒のハイゲージニット、
足元は黒いタイツにバレエシューズを合わせたオシャレさんだった。
女の子は背伸びをして冷凍ケースの中を覗き込んでいた。
片足だけバレエシューズが脱げかけているところも可愛かった。
そして冷凍ケースの向かい側に居た母親に、「これ何?」と尋ねると、
「エスカルゴ、あ、外国からきたカタツムリ」と母親は返した。
オーブンで焼くだけのハーフメイド状態にまで加工してある冷凍エスカルゴだ。
女の子は更に続けた、「公園でカタツムリ取ってきたら、これになる?」と。
「ならない、ならない、ならないよ」
母親の色んな思考が背後から聞こえた3回の「ならない」に込められているようで微笑ましかった。
カタツムリはエスカルゴと呼ばれフランス料理の一品として味わうことができる食材だ。
日本でも食べていた地域があったそうだけれども、頻繁に食卓にあがる食材ではない。
だから、フランス料理としてエスカルゴを目にすると
紫陽花のそばにいるようなカタツムリを想像してしまって苦手だという方もいる。
実は、このカタツムリと呼ばれている虫は種類が多いのだそう。
そして、食用のエスカルゴは衛生管理が徹底された環境で、
エサなどにも配慮されながら養殖された品質管理が行き届いた食用のもの。
どうしてここまで品質管理にこだわっているのかというと、
カタツムリには寄生虫がいる可能性が高く、
この寄生虫を食した場合、死に至る可能性があるのだとか。
だから、食用のカタツムリでさえも衛生管理や品質管理をしっかりと行い、
更に、しっかりと過熱処理をすることで安心して食べられる状態になる。
もしかしたら、収穫前のお野菜の上をカタツムリが這って移動していた場合、
カタツムリの滑りと一緒に、この寄生虫がついていることも、稀ではあるけれど、
可能性としてゼロではないと言われているので、
生野菜を召し上がる際には、見た目のキレイさに油断せずにしっかりと洗うことをお忘れなく。
大人はさすがに公園のカタツムリを調理しようとは思わないでしょうけれど、
子どもの発想は自由でございます。
小さなお子さんとエスカルゴメニューを味わう際には、
エスカルゴと公園のカタツムリは別物だということ。
カタツムリを触ったら、しっかりと手を洗うことをお話してあげてくださいませ。