お洋服にも天使の輪ができるのをご存知でしょうか。
ワタクシ、お洋服の生地を見て触り、
適したお手入れ方法を探ることが趣味のひとつでございます。
きっと豪快な母のおかげなのでしょうけれど、
お気に入りのお洋服を母に洗わせたらダメになる、
クリーニング店に出せば風合いが変わらずに仕上がってくると過信はしてはいけない。
そのような経験が幾度か重なり残念な思いをしたのでしょうね。
それならば失敗しても悔いが残らないように、ある程度のものはセルフクリーニングしてしまえ。
そのような実験のようなお洗濯を子どもの頃から行っております。
失敗もしてきたのですが、今では生地を触って洗えるか、洗えないか、
生地と汚れとの相性や生地と洗剤との相性など、ある程度は予測がつくように思います。
ただ、生地メーカーの技術進歩も速いため、終わりなき実験が続いております。
妙な前置きが長くなってしまいましたが、
今回は、冒頭で触れたお洋服にできる天使の輪のお話を。
学生の制服やスーツ、ジャケット、そのような生地を使って仕立てられたお洋服などを着用していると、
お尻の部分や袖口、肘から下のデスクに触れる部分などの
部分だけピカピカッと艶が出てくること、ありませんか?
艶と言えば聞こえが良いですが、「テカリ」です。
これを放置してしまいますとテカリが定着し、その部分から生地が劣化していきます。
ただ、早い段階でこのテカリをケアしておきますと、生地の劣化を遅らせることができます。
このテカリやすいお洋服に限って、
簡単に買い替えるようなアイテムではなかったりもしますので、
冬のお洋服から簡単なケアを加えてみませんか。
まず、今回のターゲットである「テカリ」について確認しておきましょう。
このテカリができる原因は、圧着と摩擦です。
先ほど挙げたようなアイテムには、ウールなど動物の毛が使われていることがあります。
そうしますと、動物の毛の表面には、私たちの髪の毛と同じようにキューティクルがありますので、
着用時の癖などによって毛がギューッと押しつぶされます。
そして、私たちは、押しつぶされた部分のキューティクルを動作や持ち物などによる摩擦で
キュッキュッと磨いているような状態で過ごしており、
その結果、お洋服にテカリができてしまっています。
この仕組みが分かれば対処法も想像できるかと思うのですが、
着用後はお洋服をブラッシングすることで、ホコリを取り除くだけではなく、
テカリ防止にも一役買ってくれます。
幸せのレシピ集内ではお洋服のブラッシングの効果を様々な角度からお話しておりますが、
皆さんの知識ボックスにあるブラッシング効果の中に
『テカリ予防』も加えておいてくださいませ。
もし、圧力で押しつぶされて生地が硬くなっているようであれば、スチーマーを使います。
スチーマーも度々登場するのですが、
ここでは、スチーマーの蒸気で押しつぶされた毛を柔らかくし、
毛が柔らかくなったところでブラッシングして毛をもとの状態に戻します。
繊細なお洋服であればハンカチなどの上からスチームをあてると良いかと思います。
蒸気をあてたお洋服は湿気を含んでいますので、カビ防止のために、
湿気が飛ぶまではクローゼット内にしまわないようお気を付けください。
まだ軽い状態のテカリであれば、これを何度か繰り返すうちにテカリが消えますので、
あとは、着用したら軽くブラッシングする習慣をつければ問題解決です。
年季が入ったテカリは、多分、このケアでは消えないのではないかと思います。
試してみてテカリが思うように消えなかった場合は、ドラッグストアでアンモニアを入手します。
スプレーボトルなどにお水を入れ、
お水の量に対して1/10よりも少ないくらいのアンモニアを入れ、アンモニア水を作ります。
これをテカリ部分に吹きかけて、スチーマーで蒸気をあてます。
アンモニアのツンとしたニオイは、この蒸気で飛びます。
この後、軽くブラッシングし、繊維の根元までしっかりと自然乾燥させます。
完全にテカリが消えることはないかと思いますが、
目立たないくらいに抑えられるかと思います。
時々、テカリを改善するスプレーなども見かけるのですが、
スチーマーやアイロンを使うようなお洋服の場合、
スプレー液が生地に残り、変色するようなものもありますので、
こちらは注意しながら使用しましょう。
テカリの原因は「天使の輪」なのですが、
髪の毛に出る天使の輪と違い、あまり見た目が良いものではありませんので
予防ケアをしてみてはいかがでしょうか。
冬のオシャレを楽しむために、ご家族をパリッとした装いで送り出すために、
知識ボックスから引っ張り出していただけましたら幸いです。
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