近所にあるプレスクールの前を通ると可愛らしい声でロンドン橋が聞こえてきた。
※ここで言うプレスクールとは、0歳児から小学校に入る前までの子どもたちに対して、英語で保育が行われる日本の育児施設のことで、幼稚園のような位置づけの場所のこと。
久しぶりに耳にしたロンドン橋のメロディー。
“ロンドン橋 落ちる 落ちる 落ちる♪ロンドン橋 落ちる マイフェアレディ♪”
その場を通り過ぎてからも私の頭の中でロンドン橋が歌詞付きで流れていた。
母国語、外国語を問わず、いつの間にか覚えてしまった歌詞は、
歌詞の内容や単語の意味が頭から抜け落ちてしまっていたとしても、口は覚えているようだ。
自分でもびっくりするくらいスラスラと出てきたロンドン橋の歌詞に少しだけ驚きながら、
目的地を目指した。
このロンドン橋という楽曲は、
マザー・グースと呼ばれるイギリスのおとぎ話や童謡の中のひとつだ。
イギリスでは、おとぎ話や童謡をマザー・グースと呼ぶこともあるのだけれど、
このマザー・グースと呼ばれるお話や童謡の数々を作ったかもしれない女性作家たちを総称して、そう呼ばれることもある。
その、マザー・グースの中に登場するロンドン橋には、
怖いストーリーが隠されているのでは?と議論され続けている。
今回は、そのようなお話を少し、と思っております。
歌詞を見ていくと、ロンドン橋が落ち、新たな橋ができ、
その新しい橋が落ち、また更に新たな橋が作られるという風に、
橋の修繕建替の様子がその時代に施された、
素材を変えてみるといったような工夫と共に窺える内容になっている。
そして、そこにはマイフェアレディーという言葉が度々登場する。
日本では「お嬢さん」や「貴婦人」と訳されているのだけれど、
この女性は何者なのか、ということも長年議論されているのだ。
そして、唯一の登場人物である「寝ずの番人」の正体は何なのか、と。
公式発表できるような答えは未だ出されていないけれど、
有力とされている説に、このようなものがある。
「マイフェアレディ」と「寝ずの番人」と呼ばれる人は、
眠らずに橋を守る役割を与えられた人柱を指しているのではないかと。
ヨーロッパに限らず日本でも古は、川に橋をかける際、
橋の工事で死人や怪我人が出ないように、工事が無事に終わるように、
また、出来上がった橋が崩れ落ちないように、川の神様に生贄を捧げていた時代がある。
ロンドン橋の歌詞には、その人柱のことが盛り込まれているのではないかと。
私たちが何気なく口ずさむロンドン橋の歌詞の中に登場する
「マイフェアレディ」と「寝ずの番人」と呼ばれる人々。
これは、ロンドン橋を守り続けるために命を捧げなくてはいけなかった
英国人女性たちなのかもしれないというお話です。
他にも、この人がマイフェアレディなのでは?というお話がありますが、それはまたの機会に。
日本の童謡の中にも時代の本当の姿を写し取ったものや
公にはできないメッセージを一見分からぬように忍ばせてあるものが在りますが、
このような伝達手段は世界中で行われていたのでしょう。
何気なく口ずさんでいる陽気なメロディーに思わぬメッセージが隠されていることは、珍しくないのかもしれません。
私たちが知っている歴史は真のものなのか、それとも……。
ロンドン橋を耳にした際には、ちらりと思い出していただけましたら幸いです。