ストールをくるくるっと首に巻き付け家を出た。
私にとっては、いつもの日常だったのだけれども、
行く先々で艶やかな振り袖姿やキリッとしたスーツ姿のお嬢さんたちを目にし、
その日が成人の日であることに気が付いた。
足元に注意を払いながら歩く姿や長い袖を持て余しているように見える後姿、
どうしたって漏れ出してしまう、隠しきれない初々しさを微笑ましく思うのと同時に、
当時の私も、彼女たちのようなぎこちなさを纏っていたのだろうかと思ったりもした。
神社仏閣へ行くと、時々、「節目、節目を大切にしていると、その節目から芽が出る」
というような話を耳にすることがある。
つい、大きな節目ばかりに気を取られていたけれど
節目の大きさに限らず、日々の暮らしの中に散りばめられている大小様々な節目を
大切に楽しみながら重ねていると、
いつだって、どこからだって、様々な芽が出て、
いつの間にか人生が豊かなものになっているのかもしれない。
そのようなことを思いながら、目線少し先で揺れる真っ赤な振り袖の袖を眺めた。
成人式での女性の装いとして選ばれるもののひとつに「振り袖」がありますが、
どうして、あんなにも袖が長いのか、ご存知でしょうか。
こちらは、以前、
『「またね」、「バイバイ」と手を振るあの仕草はおまじないだったってご存知ですか?』
のタイトルの元、お話させていただいた魂振り(たまふり)の表れのひとつなのです。
日本には、空気を震わせたり、揺るがすことで、
神様を呼び起こしたり、呼び寄せたり、厄を祓うことができるとされてきました。
神社で柏手を打ったり、鈴を振って鳴らしたり、「またね」、「バイバイ」と手を振る仕草などは、
その動作によって空気を震わせることで神様とコンタクトを取ることができる、
という古来からの儀式が残っているのです。
振り袖は、主に結婚前の女性が身に纏う着物とされておりますが、
これは、袖が揺れることで神様を呼び寄せ、
良縁に恵まれますようにという願いを伝える意味があると言われております。
そして、しっかりと神様を呼び寄せるためには空気を震わせなくてはいけないため、
願う気持ちの強まりと共に袖も長くなり、今の様な振り袖になったと言われています。
私たちが何となく行っている動作の中で、
空気を震わせるようなものがあった時には、
もしかしたら魂振り(たまふり)?そのような視点から動作を見てみると、
先人たちの世界を覗くことができるかもしれません。
そして、末筆ながら、
今年、大人の仲間入りをした二十歳の皆様、そして、ご家族の皆様、おめでとうございます。
これから経験する全てが、二十歳を迎えた皆様の幸せに繋がりますように☆彡
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