劣化していたアルバムから懐かしい写真を一枚、一枚剥がし、
新しいアルバムへ貼り替えていた時のこと。
以前の仕事仲間たちと参加した異文化交流会の時のポラロイド写真があった。
異文化交流会と言うと少々堅苦しい響きだけれども、
実際には、日本に住んでいる外国人の方々とお茶を飲みながら自由気ままに会話を楽しむ、気楽な会だった。
“外国人の方々”とは言っても、皆さん、日本暮らしが板についており、
日本語も堪能だったため、会話の殆どが日本語で交わされた。
その時、写真に写っている方々と、どのようなことを話したのか、
今となっては覚えていなかったのだけれども、
写真の余白に私以外の誰かの文字で記されていたフィーカ(fika)という言葉から
写真の中の一人がスウェーデンの方だったことを思い出した。
スウェーデンの映画や音楽を手あたり次第観て、聴き漁ったことがあった私は、
確か、そのようなことを会話の糸口にしたように思う。
その時、「フィーカ」も知っているでしょう?そのようなことを尋ねられたけれど、
当時の私は何のことやらサッパリ分からず、教えていただいたのだった。
今回のお話コードはスウェーデンの「フィーカ」でございます。
フィーカって何?と、ご興味ありましたら、お付き合いくださいませ。
スウェーデンの方々にとってフィーカ(fika)は、
私たちに馴染みがある言葉に置き換えるならば、
ティータイムやコーヒーブレイクと同様の意味を持つ言葉だ。
フィーカはスウェーデン語なのだけれど、仕事、家事、育児、遊びなどの途中で休憩し、
コーヒーや紅茶などの飲み物とお菓子を楽しむことで、
スウェーデンでは、このような時間を1日のうちに何度も取るという。
これは、怠けているとかサボっているのとは異なり、
心身をリラックスさせる時間を大切にする意味合いが強く、
みんなが、ごく当たり前のように大切にしているスウェーデンの文化の一つなのだそう。
楽しみ方も自由で、一人で楽しむもよし、
家族や恋人、友達や仕事仲間、知人や一期一会の方々などと楽しむも良しとされ、
とても気楽なスタイルのものだ。
面白かったのは、スウェーデン語だと言われるフィーカという言葉が、
コーヒーを表す「kaffi」という言葉の「ka」と「ffi」を入れ替えてできた「フィーカ(fika)」だということ。
日本の先人たちも言葉遊びを楽しんでいたようだけれども、
古のスウェーデンの方々も然りということのようだ。
美味しいお菓子と飲み物を味わいながらリラックスする文化・フィーカは、
フィーカの名で世界各地で受け継がれているという。
日本でも時々、フィーカという名のカフェやスイーツ専門店を目にするのだけれど、
きっと、スウェーデンのフィーカの意味を含んでいるのだろう。
学生の頃、スウェーデン映画と音楽を飽きるまで観て、聴いていたのは、
後の、この小さな出会いを何かが予感していたのかもしれない。
そう言い切るのは飛躍し過ぎかもしれないけれど、
そう思った方が、自分が重ねる日々を愛おしく感じられる気がしたりもしている。
ティータイム、コーヒーブレイク、言い方は様々ですが、
今日の、あなたのその時間、“火曜日のフィーカ”なんて呼んでみてはいかがでしょうか。
素敵な火曜日のフィーカを。