いつの日か、観にいこう。
なかなか、その数を減らすことはできていないのだけれども、
私には、そう思っている景色が、いくつかある。
そして、そう思っている景色の中の一つにジュエリーアイスというものが最近加わった。
百聞は一見に如かず、ジュエリーアイスと言うのは、これだ。
冬の寒さが一段と増す時期に北海道で観ることができる景色のひとつに「流氷」がある。
流氷は、ロシアを流れている川から流れ出た真水が、
オホーツク海で海水と混ざって氷になったもの。
一方、ジュエリーアイスは、海へ流れ出た十勝川河口の氷が、
海の中でぶつかり合い、波に削られるなどして角が取れ、滑らかな氷の塊と化したものが、
冬の天候の影響を受けて再度、浜に打ち上げられたもの。
流氷は真水と海水が海の中で混ざり合うようにして氷になるからだろう、
白濁した氷であることがほとんどだけれども、
ジュエリーアイスは、その名にも相応しく透明なのだ。
ジュエリーアイスは、年が明けた1月中旬頃から2月にかけて、
十勝地方に在る豊頃町(とよころちょう)の大津海岸に出現するのだけれど、
宝石のように透き通った氷は、その時々の太陽の光を浴びて、
様々な色や表情を見せてくれるという。
時間や天候によってもその姿を変えるため、自然が生み出す芸術品だと言われることもある。
私、外国の方から自国のことを教えてもらう機会があるのだけれど、
ジュエリーアイスを知ったのも外国の知人に尋ねられたことがきっかけだった。
知人は何の前触れもなく、このようなことを尋ねてきた。
日本にはジュエリーアイスと呼ばれる素敵な氷が見られるらしいけれど、
簡単に観に行けるのかしら?
オーロラのように天候によって観ることができたり、できなかったりするのかしら?
こういった質問を一度に7つほど受けたのだ。
しかし、その時の私は、ジュエリーアイスとは何ぞや?という状態。
日本に住んでいるのに、あの神秘的な景色を知らないの?と返され、
自分なりに情報収集をすることになった。
ジュエリーアイスと呼ばれるものが、
十勝地方に在る豊頃町(とよころちょう)の大津海岸に出現する氷の塊だということ、
日本でもここ数年の間に人気が出てきたということ、
ジュエリーアイスを観るためのツアーがあることなどを知った。
それからは、国内外の方々が撮ったジュエリーアイスの画像を見ては、
その幻想的な景色に淡い恋心にも似た感情を胸の奥に忍ばせている。
世界は広くて狭い、そして、世界は狭くて広い。そう思う。
そして、宝石のような景色は私たちの日常の中にもある、とも思う。
今日もひとつ、自分にとっての宝石のような景色を見つけられたなら、
ちょっぴり素敵な1日になるのではないだろうか。
関連リンク:豊頃町の新絶景/ジュエリーアイス