ずっしりと重いバターを陳列棚から取り出しカゴに入れた。
その場を離れかけたとき、少し離れたところに並ぶマーガリンのパッケージに印字されていた
トランス脂肪酸の文字が目に留まり、その前まで行った。
確か、今年の夏頃からだっただろうか。
正確な時期は忘れてしまったけれど、アメリカではトランス脂肪酸を多量に含んでいる油脂の使用規制が始まる。
日本では、欧米のようにトランス脂肪酸の使用を規制する動きは無いように感じていたけれど
生活習慣病や肥満などを含めた健康と向き合う人が増えている昨今、
トランス脂肪酸の名を見聞きする機会も増え、
極力控えるようにしているという声も聞くようになったように思う。
マーガリンとバターの違いやトランス脂肪酸については、
過去記事の中でも触れているのだけれど、トランス脂肪酸は、2種類ある。
ひとつは、天然食材にわずかに含まれているトランス脂肪酸。
よく挙げられているのは牛肉や牛乳だろうか。
もうひとつは、欧米では使用規制対象とされている、
自然界にはない不自然な形で作られたトランス脂肪酸だ。
こちらは、主にマーガリンやショートニングに含まれているのだけれど、
日本には国が定めている使用規制の基準はないため、
食品を製造している企業や、その食品を実際に購入する私たちに、自己管理が委ねられている。
マーガリンやショートニングを原材料にしているお菓子、菓子パン、
その他の加工食品は意外にも多く、知らぬ間に過剰摂取しやすいのが現状だ。
自然界にはない不自然な形で作られたトランス脂肪酸は、
私たちの体内では分解されにくく、蓄積されやすい事が分かっている。
蓄積されてたトランス脂肪酸は、血液中の悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らしてしまうため、
心臓疾患などの様々な生活習慣病や肥満のリスクを高めるといわれている。
トランス脂肪酸のことを知る人も増え、マーガリンなどの需要は年々減少しているのだそう。
それを受けて、企業によっては、
揚げ物をするときに使う油や、原材料として使用する油脂分を、
トランス脂肪酸の少ないものに替えたり、トランス脂肪酸を含まない商品を開発したりと、
自主的に取り組み始めているところも増えてきていると何かで見聞きした記憶がある。
こうしてマーガリンなどのパッケージで目にすると、
日本には国が定めている使用規制の基準はないけれど、
自主的に動いてくれる企業が多くて有難いと思う。
私はストイックに健康を追求している訳ではないため、
トランス脂肪酸を全く口にしないというわけではないけれど、
自宅で使う調味料などに関しては、出来るだけ体への負担が少ないものを選ぶようにしている。
私たちの体は、私たちが口にしたものでできている。
今日、口にしたものは3か月後の自分の体を作るとも言われている。
今は、美味しさと健康を両立させていく時代なのかもしれない。
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