新しいステージへと切り替わる時季は、人だけでなく、様々なご挨拶も行き交うように思います。
先日は駅の改札口で、「お気遣いありがとうございます」という言葉と
「お心遣いありがとうございます」という言葉が聞こえてきまして、
似ているけれど使いどころの異なる言葉だと思いながら、
ご挨拶中の方々の横を通り過ぎたところでございます。
この2つ、皆さんもよく使われるフレーズだと思いますので、ご興味がありましたら、
この機会にワタクシと一緒に、使いどころの再確認をしておきませんか。
「お心遣い」と「お気遣い」は、似通ったシチュエーションで使われる言葉ですが、
使いどころを分けるポイントがあります。
まず「お心遣い」ですが、こちらは、相手の状況や心情、立場などを思い、考えた上で行った行動のことを指しています。
使い分けのポイントは、相手を思う気持ちだけではなく、実際に何かしらの行動をしていただいたかどうか。
ですから、相手にしていただいた心遣いに対しては、
「~をしていただきまして、お心遣い、ありがとうございます。」
「~をしていただきまして、お心遣い、感謝致します。」
というようにお礼を伝えます。
一方、「お気遣い」は、相手の方から体調や多忙などを気にかけていただいたり、
心配していただいたり、何か配慮した言葉をいただいたときなどに、
「お気遣いありがとうございます。」というようにお礼を伝えます。
要するに「神経」を使っていただいたり、使ったりというシチュエーション向きの言葉です。
「お心遣い」と「お気遣い」の違いは、相手を思う気持ちに行動が伴っているかどうか。
これが、使い分ける際のポイントです。
例えば、風邪をひいて寝込んでいるときに体調を心配するメールをいただいた場合は、
「お気遣いありがとうございます」というお礼ですが、
お見舞いに来ていただいたり、お見舞いのフルーツが届いたりした場合は、
「お心遣いありがとうございます」というお礼の言葉を使います。
この言葉を使い分ける際、少々混乱するシチュエーションとして挙げられるのは、
お友達のご自宅などに招かれた際に、お茶を準備していただく状態です。
このような時には「お気遣いなく」ということが多いかと思うのですが、
状況を観察してみますと、
おもてなしの気持ちと、お茶を淹れるという行動がセットになっていますので、
本来は「お心遣いなく」が正しいのかしら?と考えてしまう方もいらっしゃるかと。
これは、「私に余計な気を使わないでいいですよ。でも、思いやりや親切心でお茶を淹れて下さっているので、お心遣いは、ありがたく頂戴します。」
という状況ですので、「お気遣いなく」という言葉が使われています。
思いやりや親切心を要らないと切り捨てるのは失礼ですものね。
そして、お茶をいただいた後は、
「ご馳走様でした」や帰り際に「お心遣いありがとうございました」といった言葉をお礼として使います。
きっと、皆さん自然と使い分けていらっしゃるとは思うのですが、
時々、大人のたしなみとして再確認してみるのも良いのではないでしょうか。