花屋を覗いたら色とりどりのアルストロメリアが目に飛び込んできた。
アルストロメリアに限らず花たちの色彩が、年々、鮮やかさを増しているように思う。
その日は、ピンクに白、黄色にオレンジ、薄紫色をしたアルストロメリアまであった。
私が知っている色合いが他にもあることを思うと、
どこまでが本来の姿で、どこから人の手が加えられたものなのだろうかと、少々野暮なことが頭の中を過った。
その日はシンプルな薄いピンク色をしたそれを買って帰ることにした。
一本の先が10数本に枝分かれしている、そのスタイルは、彼岸花のようにも見えた。
お会計の際に、そのようなことを漏らすと、
アルストロメリアは、彼岸花科、ユリ科などと言われているのだと教えていただいた。
スタイルは彼岸花から、花の形はユリからといったところだろうか。
実は私、この花を始めて知った時は、花びらの1枚に点在する斑点模様が苦手だったのだ。
この斑点こそがアルストロメリアの個性で、エキゾチックなチャームポイントなのだけれど、
無い方が素敵なのに、と思ってしまった。
今思えば、知らないことや初めてのことに対する警戒心からくる印象や気持ちに似たものだったのだろうと思う。
自分が慣れ親しんできたもの以外を、無意識に理由を付けて拒絶してしまうことは意外と多い。
女性であれば誰もが経験あるのではないだろうか。
毎年、素敵なファッションが私たちの目を、日常を、気持ちを楽しませてくれているけれど、
これまでの流れを大きく変えるようなスタイルが登場したとき、
今季はこれが流行るのかと思いつつも、すぐには飛びつかず、
そのファッションや、動向を見守るようなこと。
次第に、そのようなアイテムを目にする機会が増え、
実際に着用している人を街中やネット上で目にして、ようやく「私も」と思うあれ。
目にする回数が少しずつ増えることで、初めてのものではなくなり、知らないものでもなくなり、
自分の感覚が新しい存在に慣れることで警戒心が解けて「私も」となるのだろう。
そして、実際に手を伸ばして着てみたら、思っていたよりも良かったというようなことは割と多い。
新しい出会いの中には、ファーストインプレッション、第一印象が正しいものもあるけれど、
自分の目や感覚を慣れさせる時間を要するものもあるのだ。
私がアルストロメリアの斑点に慣れたのは、初めて目にしてからどれくらい経ってからだろう。
今では自宅に飾ることもあるし、感じていた斑点に対する苦手意識も無くなっている。
何度でも知る機会があるのなら、何度でも知ってみれば良い。
ピンクのアルストロメリアを眺めながら思った。
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