観光地の土産物店の一角に並ぶ「耳かき」の棒。
これは、土産物になるのだろうか。
そのような事を思いながらも、耳かきの先端にくっついている、その土地ならではのモチーフに見入ってしまった。
昔ながらの竹製のものやプラスティック製、お手入れや耐久性に優れたステンレス製、
中には暗い耳の中を照らすライト付きのものまである。
私は、あれやこれやと使ってみたけれど、肌に優しいように感じられる竹製のものと綿棒の併せ技が好みだという結論に落ち着いている。
外国の方々は、どれくらいの頻度で耳の掃除をするのだろうか。
そのような疑問を抱いたのは、海外暮らしをしていた時である。
海外には「耳かき」をする習慣は、日本ほどない。
だから、痒いところに手が届く便利アイテム「耳かき棒」なるものも存在しないのだ。
当然、片方は綿棒で、もう片方は耳かき状に作られた綿棒なども存在しない。
※現在は、一部の人たちの間で認知度が上がってきているという話を聞いている。
うっかり外国へ持って行くことを忘れた私は、いや、正確には現地で買えばいいと思っていた私は、
日本に居る友人から、何か日本のモノを送ってあげたいけど何がいい?と言われ、
迷わず「耳かき」と答えたことがあるくらいだ。
外国の方々は、日本人の「耳掃除」の回数や機会がやたらと多いことに驚く。
そもそも、どうして耳の中に棒を突っ込むんだ?恐ろしくないのか?危険だぞと口を揃えて言う。
自分でも耳掃除をするけれど、自分で出来ない赤ちゃんや子ども、時々大人も含め、
誰かに耳掃除をしてもらうということもあると言うと、他人に耳の中を預けるなんて信じられないと返ってきていた。
これは、日本ならではの習慣なのかと思い、当時、周囲にいた他国の方々に尋ねると、
アジア圏出身者は、耳掃除の気持ち良さを知っている。という結果がでた。
帰国後、医療従事者たちに当時の出来事を話すと、
東洋人と西洋人では耳垢の質感が異なることも理由のひとつだけれども、
耳掃除に対する認識が随分と異なっているのだと言っていた。
耳掃除のし過ぎは、良くないとも聞くけれど、それは「し過ぎた」場合のこと。
自分の体をキレイに保ち、大切に扱うことはイイコトだと思うのだけれども、
耳掃除を滅多にしない彼らも、
デリケートな耳の中に触れずにいることは、自分の体を大切に扱っている印でもあるのだから、
習慣や常識というものは、身を置いていた場所で作り上げられるものなのだと思わされる。
海外旅行や海外滞在予定がある方は、どうか、耳かきをバッグに忍ばせることをお忘れなく。
そして、ジャパニーズテイストの装飾が施された耳かきも多数見かけるけれど、
外国の方への贈り物にするには、今一度、贈るべきか否か、ご検討あれ。
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