ガーデンテーブルで過ごす時間が心地よい。
ただただ、空を眺めていることも多いけれど、
頭の中に浮かび上がってくるものの中から、その日の優先順位を決める時間でもある。
今の私に答えが出せないものや、出す必要性がないものは、
潔く考えることを止めて脳内保留ボックスへ入れておく。
放棄でも、諦めでも、いいかげんでもなく、今はその時ではないというだけ。
そうして、クリアできるものから順々に。
その日の優先順位のメドが、ある程度立ったからだろう。
意識の全てが空に浮かぶ雲に向いた。
スーッと伸びる細くて長い飛行機雲が左から右へと流れていった。
今度は右から左へと向かって伸びる飛行機雲が、新たな飛行機雲と空の上の方ですれ違った。
そのようなすれ違いを数回見送った。
普段よりも上空が冷えているのか、そこには、きれいな五線譜が浮かび上がっていた。
空を見上げていると飛行機を見つけることも多いのだけれど、
いつだったか。飛行機雲は、必ず見ることができるとは限らないと気付いたことがあった。
私は、飛行機雲ができる飛行機と、できない飛行機の違いは何だろう?と思っており、
しばらくの間、飛行機雲は何かしらの秘密のサイン?などと、想像を膨らませたこともあった。
そう思ったまま随分と月日が経っていた。
あるとき、仕事をご一緒した方と食事をしていたときのこと。
子どもの頃から飛行機が好きだと聞き、飛行機に関する貴重なお話を聴かせていただいていた。
様々な視点からのお話に触れる度に、私の頭の片隅にあった、飛行機雲の疑問がふわっと立ち上がり、話題は飛行機雲へと移った。
飛行機雲は、地上から約6000m以上でなければできないものなのだそう。
地上から約6000m以上の場所の温度は、とても低いため、
この辺りにできる雲の大半は、氷の粒でできているそうなのだけれども、
この場所を飛んでいる飛行機のエンジンから出る水蒸気は、
外へ排出された瞬間に、辺りの気温で冷やされて氷の粒に変化し、
私たちが、この氷の粒を地上から見ると白い雲のように見えるのだそう。
エンジンから出る水蒸気が氷の粒に変わる原因は、地上からの高さ以外にもあるという。
それは、飛行機が、地上から約6000m以上も高い、空気が薄い場所を飛ぶと、
飛行機が通過したライン上に、空気による小さな渦巻きができるのだそう。
この渦巻きが、辺りの温度を急激に下げることで、私たちが言う、飛行機雲を作り出すこともあるという。
私たちが良く知る身近な現象で例えると、
寒い日に息を吐くと白くなる、お馴染みの現象がスケールアップしたものが上空で起こっており、
それを私たちは飛行機雲と呼んでいるそうだ。
このように言うと、地上から約6000m以上の場所を飛んでいる飛行機からは、
簡単に飛行機雲が出ているように思えるのだけれど、
飛行機雲は、飛行機の高度と上空の温度、空気の流れや湿度といった様々な条件が揃わないと見ることができない、珍しいものと言えるようだ。
ちなみに、その方から教えていただいたお話の中に、このようなものがあった。
出来たての飛行機雲を観察してみると、飛行機雲にも2本タイプ、4本タイプなどの違いがあるのだそう。
これは機体のエンジンの数によって異なるため、一機から出ている飛行機雲の本数によって、
飛行機の機種を絞り込むことも可能だと言う。
更に、航空ショーなどで人気が高いブルーインパルスによるアクロバット飛行。
ブルーインパルスは、地上から近いところを飛行しているため、
飛行機雲を発生させる条件である「約6000m以上」に達していないのにも関わらず飛行機雲を出している。
これは、排気に専用のオイルを混ぜることで白くなるよう計算しているのだそう。
私から見れば、空高くでスーッと伸びる白いラインも、ブルーインパルスの白いラインも、
魅力的な飛行機雲だったのだけれども、詳細は異なるものだったと知った。
飛行機雲の変化からお天気を予想するもともできるのだけれども、そのお話は、また機会がありましたら……。
様々な条件が揃ってこそ見ることができる飛行機雲。
見つけた際には、今回のお話をチラリと思い出していただけましたら幸いです。
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