確か、ある週末の夕暮れ時だったと思う。
リビングの窓を全て開け放ったら、どこからともなく行き交う車の騒音に混じって
「もういいかい」「まあだだよ」と、かくれんぼの決まり文句が聞こえてきた。
日が長くなったこともあり、子ども達が遊べる時間も長くなったのだろうかと、
その時間にしては明るい外を見ながら思った。
この時季のお気に入りであるマスカットティーをアイスで淹れ、
ほっと一息、ガーデンテーブルで味わうことにした。
グラスの中の氷が溶け崩れるときに鳴るカランという音が、思う以上に夏らしく感じられた。
そろそろ室内にと立ち上がったときに聞こえてきたのは、「こっちにもいるよ、ダンゴムシ」という声だった。
本当に子どもたちに人気がある虫だなと思う。
そして、この時季はダンゴムシの活動が活発になるのか、子ども達の活動が活発になるのか、
ダンゴムシに夢中になっている子どもたちを目にしたり、そのような話を耳にしたりする機会があるように思う。
確かに、不思議な体の作りをした興味深い虫だと思うし、過度に怯える必要がない安全な虫だけれど、
どうして幼き少年、少女たちはダンゴムシを集めたがるのだろうかと度々思うのだ。
最近、夏頃にダンゴムシの玩具が発売されるというにニュースを目にした。
確かバンダイのガシャポン(カプセルトイ)だったと記憶している。
なんでも、昆虫が苦手だという担当開発者が、2年という月日をかけ、
ダンゴムシの、あの不思議な体の作りを調べ上げ、研究し、商品化に至ったというのだ。
玩具の大きさは、大人の手のひらに乗る大きさで、見ごたえ十分といったところ。
本来のガシャポンは球状のカプセルケースの中に小さな玩具が入っているのだけれど、
ダンゴムシの丸くなる特徴を生かし、カプセル―ケースには入れずに、
購入時は、自動販売機から丸まった状態のダンゴムシ(の玩具)が出てくるという。
日本の玩具は、海外のそれらと比べると子ども騙しのものが少なく、
大人が大人の知識と持ち得る技術の全てを注いで作りあげられることが多いが、
このダンゴムシの玩具も、そのひとつと言っても良いのではないだろうか。
そして、思うのだ。
ダンゴムシ、君は何者だ!?と。
今日も日本中のあちらこちらで、ちびっ子たちの視線を浴びているのであろう、ダンゴムシは、
私の中で、この時季の風物詩のひとつになりつつあるようだ。
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