ある場所でお酒をいただいていた時のこと。
目の前のお皿の上には、ナッツやチーズの横に、ちょっとしたスナック菓子が盛られていた。
時折、そのお皿に手を伸ばしていたのだけれど、
同席していた一人が「こういうスナック菓子は、一度手を伸ばしたら最後、やめられないし、止まらない」と言った。
一同、小刻みに頭を縦に振りつつグラスを口に近づけた。
「一枚だけ」という自分との約束事は意図も簡単に破られてしまうのだ。
自分の意志の弱さに肩を落とす経験もそれなりに重ねた私の中には、いつの間にか、
スナック菓子には手を出すか否かの二者択一しかないという認識が出来上がった。
しかし、ある時、知ってしまったのだ。
スナック菓子には確かな狙いがあり、「一枚だけ」では済まないように計算されているということを。
今回は、スナック菓子の野望と題しまして、
一度手を伸ばしたら最後、やめられないし、止まらないスナック菓子の仕組みのお話を少し、と思っております。
ご興味ありましたら、程よく冷えたお飲み物片手に、のんびりとお付き合いいただけましたら幸いです。
私たちはカロリーが高い食品を過剰摂取しがちだと思いがちなのですが、
つい過剰摂取してしまう原因は、高カロリーだからではなく、
食品に含まれている炭水化物と脂肪の割合にあるのだそう。
伸ばした手が止められなくなるスナック菓子に含まれている炭水化物と脂肪の割合は、
炭水化物が約45%、脂肪が約35%だと言われており、
このパーセンテージは私たちの食欲が最も進んでしまう値なのだとか。
もちろん、商品や食品の種類によって多少の差はあるようなのだけれど、
この、人々がつい食べ過ぎてしまう炭水化物と脂肪の比率は、食品業界では割とよく知られているのだそう。
自社商品を美味しく楽しんでもらいたいという思いから、
この、人々を虜にする比率の研究は、各社で更に進められていると言うから、
一度手を伸ばしたら最後、やめられないし、止まらないという状態は、
意志の強さ云々の前に、ある意味、スナック菓子の術中に嵌まってしまったとも言えるのだ。
そして、少々厄介だと感じるのは、この比率と食後の満足度を照らし合わせると、
食後に感じる満腹度と満足度は、必ずしも一致するとは限らないという点。
脂肪が多く含まれているものを口にする方が、少ないものを口にするよりも素早く、高い満足度を得られるように思うけれど、それは違うようなのだ。
脂肪という栄養は基本、体内で緊急事態が起こった際に使用されるエネルギーなので、体内に蓄えられる栄養である。
だから、脳は脂肪が摂り込まれる度に、いちいち「これはエネルギーだ」と認知する必要がない(緊急性が低い)ため、
脳は満腹だという指令を出さず、私たちの空腹感が満たされることもない。
だから私たちは、つい、脂肪を多く含む食品を食べ過ぎてしまうというのだ。
よくできている体内機能なのだけれど、飽食の時代を過ごしていることを思うと、
自分の体は自分で気にかけてあげなくては、と思わされる現実でもある。
このようなことを踏まえて、満腹度や満足度を満たしつつウエイトコントロールをする場合は、
たんぱく質、食物繊維、水分が多いものを選ぶことがポイントになるのだそう。
しかし、日々の食生活の中でたんぱく質、食物繊維、水分量を確認するのも、正直、大変である。
そのような時には、過度に加工されているものではなく、
できるだけ素材本来の状態に近いものをシンプルな状態で食べるのが良いという。
様々な視点や長所が、それぞれにあるため、
何かを完全に排除しなくてはいけないというような偏った発想ではなく、
自分の意志と知識で、自分にあったお付き合いで、メリハリや良いバランスを保てたら良いのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
今日も健やかな食卓を。
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