日本語は難しいけれど面白い、そう言ったのは、イギリス北部で暮らしている知人だ。
大らかな性格と、少々聞き取りにくいと感じる訛りが、愛らしい。
外国人観光客と接する機会がある仕事をしているため、
簡単な意思疎通くらいは各国の言葉で交わすことができると言っていた。
その知人、日本語の難しさと奥深さの虜になったとのことで、
当時、日本語が表しているニュアンスを私に事細かに質問してきていた。
その時に尋ねられたのが、今回のタイトルにもある“心配り”と“気配り”の違いだ。
知人が使っているテキストのようなものには、ザックリと同じ意味だと書いてあったけれど、
字が違うし、発音も違うのだから何かしら違いがあるんだろ?と、興味津々の眼差しを向けられたのだ。
当時の私は、感覚で使い分けていたのだと思う。
知人へ説明するために、丁寧に母国語であるそれらをのぞくことになった。
今回は、その“心配り”と“気配り”に加えて似たニュアンスで使われることがある“気遣い”の使いどころを再確認したいと思っております。
きっと、皆さん、感覚では分かっていて使い分けられているかとは思うのですが、
良く使う言葉ゆえ、この機会にセルフチェックしてみませんか。
ご興味ありましたら、冷たいお飲み物片手に、お付き合いくださいませ。
この、“心配り”“気配り”“気遣い”の3つとも思いやりの気持ちを表す言葉で、
気配りと気遣いは同じ部類の言葉です。
“心配り”は、相手の立場に立って、
気持ちや状況を汲み取った上での行動や言葉を通した思いやりのことです。
一方の“気配り(気遣い)”は、
こちらも、相手の立場に立った思いやりを含んではいるのですが、
ここに、自分自身や自分が所属している組織の心配ごとなどが含まれた思いやりも兼ねています。
もっと砕けた言い方をしますと、自分や会社、家族などに不都合になるような状況を招かないように気を付けながらの思いやりと言うと、分かりやすいでしょうか。
よく、仕事やお付き合い絡みの場で過ごした後に耳にする、
「今日は1日中、気を遣っていたからクタクタ……」というような台詞がありますが、
そのようなシチュエーションを想像していただくと、イメージしやすいかもしれませんね。
このようなとき、心配りをしていたからクタクタ……という表現を聞かないのは、このような理由です。
心配りと気配り(気遣い)は、非常に似ている意味合いを持っているのですが、
ニュアンスが少々異なる言葉なのです。
使いどころで迷った場合は、“心”を配るのか、“気”を配るのかで判断しても良いかもしれません。
思いやりを受け取った際に伝えるお礼の言葉も多々あります。
相手との関係性によっても選ぶ言葉が変わることもありますが、
「お気遣いいただきまして」と「お心遣いいただきまして」など、さりげなく使い分けてみてはいかがでしょうか。
そろそろ、夏のご挨拶の頃でもありますので、
何かしらのヒントにしていただけましたら幸いです。
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