流れる風の中に微かに混じる雨の匂いがしたその日は、
連日の暑さから少しだけ解放されたような曇り空の日だった。
待ち合わせの後に向かったそこは、窓の外を見渡すことができる場所で、
帰宅ラッシュどき、駅へ向かう人や駅から出てくる人が視界に飛び込んできた。
皆、どこかへ帰っていくのだと思うと、当たり前にも思えるそのことが、何となく不思議なことのようにも感じられた。
外から視線を室内に向け、その場をぐるりと見渡すとグラス・ジェム・コーンのオブジェが目に留まった。
以前、こちらでも話題にしたことがあるグラス・ジェム・コーンは、まだ品種改良途中なのだろう。
相変わらず、スーパーで見かけることはないけれど、
こうしてオブジェとして目にする機会は増えつつあるように思う。
トウモロコシと言えば、ひげが多いほど粒が揃っており、毛先が茶色く色づいているものが熟していて甘いという。
これまではフライパンに少量のお水を入れて茹でていたのだけれど、
今年は暑さにかまけて、薄皮1枚だけを残したものをラップでしっかりと包み、レンジで500W・5分~7分。
レンジで蒸しあげたトウモロコシの薄皮とひげを取り除き、表面を軽く水で洗い流してできあがり。
という、無水お手軽スタイルに頼りきりである。
それでも、かぶりついた瞬間に粒から弾け出る、あのじゅわっとしたトウモロコシの味と香りは、子どもの頃から慣れ親しんでいる夏の香りだ。
トウモロコシは、夏野菜のようなイメージがあるのだけれど、イネ科の植物なので正式には穀物である。
お米や小麦と並んで、世界三大穀物のひとつに挙げられており、世界中で食べられている。
幸せのレシピ集でも過去に何度か話題にしているけれど、
トウモロコシは穀物で糖質が多いため血糖値が上がりやすい食材なので、
「いただきます」と手を合わせた直後にかぶりつきたいところだけれど、
サラダや他のお野菜の後に口にすると、血糖値を急激に上昇させずに済むということが、ちょっとしたポイントである。
このようなことを話すと、穀物であり、炭水化物であるトウモロコシをダイエットの敵だと思う方もいらっしゃるだろうか。
実はその逆。
穀物で、炭水化物ではあるのだけれど、ビタミンやミネラルが非常に豊富なので、
口にするタイミングを選べばビューティーケア、ヘルスケアにひと役買ってくれる心強い食材だ。
特に汗をかいてミネラルを失いがちな夏は、美味しくミネラル補給ができるため、
旬のチカラを大いに借りたいものである。
日本ではトウモロコシのことをトウキビと呼ぶことがあるけれど、
なぜ、この穀物がトウモロコシ、トウキビなどと呼ばれるようになったのか。
日本には、古くから桃太郎のきび団子でお馴染みの、黍(きび)と呼ばれる穀物があり、
この黍(きび)は、黍(きび)という呼び名以外に、モロコシという呼び名もあった。
そのような中、外国から日本に伝わってきたのが今で言うトウモロコシなのだけれど、
これが、黍(きび)、モロコシに似ていたのだそう。
そして当時の日本には、外国を意味する「唐(とう)」という文字があったため、
この2つを合わせてトウモロコシ、トウキビと呼ばれるようになったと言われている。
海を渡ってやってきたトウモロコシには謎も多いのだけれども、
今がまさに旬であるトウモロコシには、旬ならではの美味しさと栄養がぎゅっと詰まっております。
夏に必要な栄養を美味しくいただきつつ、今回のお話をチラリと思い出していただけましたら幸いです。
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