普段は、使う機会がない道を使い駅へ向かっていると、青い実を付けた木が目に留まった。
青い実が柿の実だと気付き、その立派な木が、柿の木であることを知った。
秋が深まるにつれ、この柿の実もオレンジ色に色づいていくのだろう。
色づいたからと言って、その実に触れることも、実を口にすることもないのだけれど、熟れる日を楽しみに思いつつ、柿の木の前を通り過ぎた。
柿と言えば、幸せのレシピ集の中では過去にレスキューフードとして登場していたかと思うのですが、
今回は、また少し異なる視点で秋の味覚をのぞいてみたいと思っております。
加工や保存の技術が発達していても、柿は、秋ならではの果実かと思います。
柿は近年、その栄養価の高さからヨーロッパでとても人気が出ているフルーツのひとつです。
スペイン語でも柿はKakiと呼ばれているのですが、その他多くの国でKakiという呼び方で通じるほどの知名度です。
アジア圏が原産である柿は、日本でも古くから親しまれており、
古文などにも登場するフルーツだからでしょうか、正式に認定されているわけではないものの、国の果実、国果と言われているのだとか。
そのような、フレッシュな状態でも干しても美味しい柿ですが、
時々、完全に熟れていなかった柿を口にし、渋いと感じた経験はないでしょうか。
この渋みは抗酸化作用でお馴染みの、ポリフェノールの一種であるタンニンの仕業。
タンニンには水に溶ける性質で渋い味を感じさせるタンニンと、
水に溶けない性質で味がしないタンニンがあるのですが、
柿に含まれているタンニンは前者のタイプです。
このタンニンは、熟す過程で他の成分とくっついて、渋みが果肉に溶け出すことが止まり、
甘い柿になるという仕組みがあります。
柿を割ったときに、黒い斑点が確認できることがありますが、
あの黒い斑点が水に溶けないタンニンの姿で、熟して甘くなっている印でもあります。
しかし、柿を剥いたときに斑点が無く、渋さを感じることもあります。
私たちの体が錆びないように守ってくれる抗酸化作用ではあるとはいえ、あの渋みは取り除きたいもの。
そのようなときには、柿のへたに濃度35%以上のアルコールを塗り、
ジップロックやビニール袋などに入れて密封した状態で、1週間ほど様子をみますと、
柿が少しずつ熟れていき、
果肉に溶け出していたタンニンが、水に溶けないタンニンに変化し、甘い柿に仕上がります。
一般的には、1週間ほど密封しておくと良いと言われることが多いのですが、
柿の種類や収穫時期、保存環境の違いなのか、私の場合は2日ほどで熟れてしまうことが多いため、
アルコールを使った追い熟をお試しされる際には、
小まめに柿の様子を見ながら、切り上げ時を決めると良いかと思います。
柿を召し上がるときに黒い斑点を発見されましたら、
タンニンの渋みが消えた印、甘さの印であることを頭の片隅で思いだしつつ、秋の味覚をご堪能下さいませ。
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