アンティーク家具や調度品でしつらえられた空間が素敵なカフェに立ち寄った。
誰かの真似ごとではなく、店主の好みが隅々にまで繁栄されているこの雰囲気は、
ここでしか味わうことはできないだろうと思えるもので、だからこそ、ふと、足を運びたくなる。
初めて通された一角のすぐそばには、カップボードが配置されていたのだけれど、
中に並べられているのは食器の類ではなく、美しい装丁の本だった。
注文した紅茶が運ばれてくるまでの時間、その背表紙を目で追っていたのだけれど、
どの本も歴史に名を残した女性たちについて書かれたものだった。
タイトルに盛り込まれた名は、クレオパトラやマリーアントワネット、楊貴妃といったお馴染みの名。
アンティーク家具の気品がグッと高まるように感じた私は、店主の目論見にまんまと嵌まった1人なのだろうと思う。
それらの名から少し離れた場所には、西太后(せいたいこう/せいたいごう)の名もあった。
先述の彼女たちと比べると、それほどメジャーではない人物なのかもしれないけれど、
私は恩師の趣味によって、西太后(せいたいこう/せいたいごう)をひたすら掘り下げる授業を受けたからだろう、
いつの間にか、ちょっとした西太后ツウになってしまっている。
恩師は、この1人の女性を深く知ることで、彼女を通して、
この時代を広く深く知って欲しい、理解して欲しいという意図があったのだと思う。
しかし、私の頭の中に残ったのは、彼女意外な裏の顔ばかりであった。
今回は、そのようなお話を少しと思っております。
秋の夜長に、ちょっとした読書気分でお楽しみいただけたらと思います。
西太后(せいたいこう/せいたいごう)と言えば、中国清時代の皇帝の第二の妃だった人物だ。
しかし、皇帝である夫も息子も全く頼りにならなかったため、
紆余曲折の中、彼らの変わりに政治を取り仕切り、巨大国家を治めることとなるのだ。
その治め方が、なかなかのインパクトだったこともあり、歴史上で語られる彼女は悪女を極めた様な女性である。
しかし、そのような記述が残される一方で、
彼女の素顔はアンチエイジングとおしゃれ、そして美味しいものが大好きな、
チャーミングな女性だったとも言われている。
平均寿命が40歳前後だと言われていた当時、彼女が73、4歳くらいまで生き、
国を治め続けたと言われている。
これだけ長期間、国を治め続けるためには、男性にも負けないくらいの体力や、
病に負けない体や頭の回転の良さも必要だったとは思うのだけれども、
驚くのは、70歳を過ぎても真黒な艶髪と、白くぷるっとした肌を持っており、
まるで少女のような姿をしていたと言われている。
以前、タイトルに惹かれ1冊の本を手に取ったことがある。
現在も購入できるのかは未確認だけれども、『西太后のアンチエイジングレシピ』というタイトルの本だ。
この本には、彼女の人となりについて簡単に書かれているのだけれど、
エピソードと共に、彼女が食していたアンチエイジングレシピがいろいろと紹介されている。
その中には、彼女がアンチエイジングのために好んで食べていたナッツとしてクルミレシピも登場する。
クルミが持つ効果効能は、血圧を下げたり、悪玉コレステロールを減らしたり、
血液の巡りや腸内環境、脳や神経の組織などを整えて機能を活性化したり、
ガン予防にお肌の新陳代謝を促したり、疲労回復など、
美容と健康を底上げするようなものがずらりと並ぶ。
近年、クルミの効果効能も常識化しつつあるけれど、
清の時代に、彼女は既にこのことを体感していたのだと思うと非常に興味深い。
しかも彼女は、お肌のコンディションを整えるために、
天然石を使って、今で言うところの美顔ローラーを作り、
時間があれば、その美顔ローラーでお顔をコロコロしていたという話も残っている。
内側からだけでなく外側からのケアも怠らない彼女を見ていると、
これは国を治め続けた手腕にも通じるように思う。
美容と健康の底上げにクルミを召し上がってみるも良し、
クルミを召し上がりつつ、西太后(せいたいこう/せいたいごう)という女性に思いを馳せるも良し、
彼女のアンチエイジングレシピをのぞくも良し、
暮らしをほんの少し豊かにするきっかけと共に、彼女の名をちらりと思い出していただけましたら幸いです。
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