時々、口にしたくなるエスニック料理。
自宅で作ることもあるのだけれど、本場のエスニック料理には、本場ならではの塩梅があるように思う。
運良く、徒歩圏内に本場の味と雰囲気を楽しむことができるお店があるため、時々足を運ぶことがある。
先日は、キラキラとした水滴をまとった大量のパクチーが、お店のカウンター上に、鎮座していた。
通された席は、カウンターから随分と離れた場所だったため、通りすがりに目に入っただけだったけれど、エスニック料理店ならではの量の多さに圧倒されてしまった。
日本では数年前に、パクチーがブームとなり、様々なパクチー味の商品が登場した。
他にもパクチー鍋や、パクチーサラダ、追いパクチーといった言葉まで生まれていたけれど、
今も、そのブームは続いているのだろうか。
当時、日本で起きているパクチーブームの様子を、現地の人々に映像で見せてみる。
というテレビ番組の企画を観たことがあるのだけれど、
現地の人たちは、「パクチーだけをこんなにも食べるなんて。日本人はどうかしている」と言っていた。
私の脳裏には、その時の映像が今も残っているのだけれど、ふと思う。
外国の方がワサビの虜になり、ありとあらゆるメニューにワサビを大量につけて食べているニュース映像を目にしたときの、
私たちのリアクションと似たり寄ったりの反応なのだろうと。
そのようなことを思いながら、いつもの分厚いメニューファイルを捲った。
メニューの端に書き加えられていた「パクチーの別添え可」という文言に気が付き、
やはり、パクチーは好き嫌いが分かれる香草なのだと思っていると、
日本人の店員から、パクチーの匂いに対する好き嫌いは遺伝子によって決まっているらしい。という興味深い話を耳にした。
数年前に目にしたニュースだから詳細は、うろ覚えだということだったため、
後日、そのニュース元を追ってみると、外国で発表された記事に辿り着いた。
アメリカに、ある遺伝子解析サービスがあるそうなのだけれど、
その遺伝子解析を使って、人が、パクチーの風味をどのように感じるのかを調べたのだそう。
すると、パクチーの風味成分の中にある、アルデヒドという匂い成分に、
人が持っている嗅覚受容体遺伝子が反応することが分かったという。
この遺伝子は、様々な反応をするらしいのだけれど、
パクチーを苦手だとする人は、この遺伝子に特徴が見られるタイプで、
アルデヒドに対する反応が通常よりも過敏なのだそう。
アルデヒドは様々なものに含まれている成分なのだけれど、
食べることができない石鹸などにも含まれていることもあり、
脳は、パクチーの匂いを口にしてはいけないものだと判断するというのだ。
ワタクシ、パクチーの好き嫌いは単純に、風味に対しての好き嫌いなのかと思っていたのだけれど、
遅ればせながら、遺伝子レベルでの反応だということを知り、
パクチーを苦手だと言う人に、無理強いをしてはいけないのだと改めて思った記事だった。
人は同じように見えていても、遺伝子レベルから人それぞれである。
たかがパクチー、されどパクチー。
思わぬ扉が開いたエスニックディナーであった。
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