街中を闊歩しいていると、クリスマスケーキの広告を押し退けるようにして貼られた、煌びやかな、おせち料理の広告が目に入った。
その仲に、縁起物でもある、鯛の塩焼きの画像があったのだけれども、
そう言えば、最近、「鯛の鯛」を目にしていないことに気が付いた。
「鯛の鯛」は江戸時代から親しまれている縁起物で、古い書物にも書き記されているのだけれど、
和食離れや、魚離れ、更には骨を取り除いた状態で店頭に並べられる魚によって、その存在を知る人も減っているように思う。
私も、随分と長い間、「鯛の鯛」の存在が頭から消えており、
鯛を口にすることがあっても、それを探すことはせずに過ごしていたのだけれど、せっかく思い出した「鯛の鯛」。
それに、鯛の姿煮を召し上がる機会や、何かしらのお祝い事の席や、
お正月のご馳走で鯛の姿焼きを召し上がる機会があるかもしれませんので、
今回は、「鯛の鯛」のお話を少し、と思っております。
鯛の鯛とは何ぞや?と思われた方は、ちらりとのぞいて行って下さいませ。
冒頭でも、ちらりと触れましたが、「鯛の鯛」は江戸時代から親しまれている縁起物で、
鯛の骨の一部を、そう呼んでおります。
この鯛の骨は、胸びれを動かすための骨なので、胸びれの下に在り、2種類の骨がくっついたものです。
そして、この骨の形が、まるで鯛のような形をしているのです。
偶然にも、神経が通っていた部分に丸い穴が開いているため、これは鯛の目のように見えます。
今でもお祝い事の席で登場する鯛ですが、江戸時代の頃は、今以上に珍しく高価な魚でした。
その高価な魚の中に、もう一匹、小さな鯛が居るなんて、二重にめでたいと喜ばれ、
江戸時代の書物の中では「鯛中鯛(たいちゅうたい)」という名で記されていると言います。
この鯛の鯛は、おめでたい縁起物というだけでなく、お金が貯まるお守りとして、福が舞い込むお守りとして、現在も親しまれています。
この、「鯛の鯛」の宝探しは、ガレット・デ・ロワに入っているフェーブを手にするときの感覚に似ているようにも思うけれど、
鯛の鯛は天然ものであり、必ず見つけられる保証がないことを思うと、
見つけられた時の嬉しさは、こちらの方が、断然、大きいのだろうなと思ったりも致します。
「鯛の鯛」は、胸びれを動かすための骨で、2種類の骨がくっついてできており、非常に壊れやすい骨です。
調理段階で既に壊れてしまっていたり、煮崩れてしまうことも多いのですが、
鯛を召し上がる機会がありましたら、目印は、胸びれの付け根です。
この辺りの身を優しくほぐしていき、「鯛の鯛」を探し当ててみてはいかがでしょうか。
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