しばらく花屋から足が遠のいていたため、久しぶりに立ち寄ることにした。
店先に並べられているチューリップの球根に目を止めていると、店主が近づいてきて、
チューリップを植えるにはタイムリミットが近づいており、今年の球根は、店先に出ているだけで全てだと言った。
子どもの頃に植えたことがあるくらいで、あとは既にきれいに咲いている、誰かが育ててくれたチューリップにしか触れてこなかったことに気が付いた。
そして、店主の話を聞きながらチューリップは寒くなってきてから植えるのか、と頷いていると、
チューリップは、球根を植えた後、冬の寒さを経験させることによって、花を咲かせる芽が育つのだと教えてくれた。
チューリップにしても桜にしても、冬の厳しさを経験せずに、あの艶やかな姿はないということらしい。
自然の厳しさは、何となく理解しているつもりだけれど、甘っちょろいものではないのだと改めて。
歴史ある花には、何かしらのエピソードがあるものなのだけれど、
チューリップにも幾つかのエピソードがあり、それが花言葉の語源になっていたりする。
その中のひとつに、3人のナイトからプロポーズされた心優しき美女のエピソードがある。
それは、このようなもの。
その3人のナイトたちは、美女の心を掴もうとプレゼント合戦を繰り広げ競い合ったという。
1人目のナイトは、名声を表す王冠を、2人目のナイトは、資産をアピールすべく金塊を、
3人目のナイトは、強さや逞しさを表す立派な剣を贈ったそうだ。
美女が、どのナイトを選ぶのか注目が集まる中、その美女は花の女王に、このようなお願いをする。
「私は、誰か1人を選ぶなんてできません。だから、私を花に変えてください」と。
姿を花に変えてもらうくらいなら、他にもっと良いアイデアがあるのでは?と突っ込みたくもなるのだけれど、そこは物語。
美女は、花の女王によって姿をチューリップに変えられてしまう。
しかし、女王は、美女をただ単にチューリップに変えたのではなく、
ナイトが彼女に贈った王冠は花に、剣は先が鋭く尖った葉っぱに、金塊は球根に変え、
今のチューリップが出来上がったというエピソードだ。
このような美女が求愛に困りチューリップに姿を変えてもらったというエピソードが他にもあり、
この辺りから、チューリップは博愛や魅惑といった花言葉を持つことになっているようだ。
この手のエピソードは割と多く残っているのだけれど、
私は見聞きする度に、なんと潔い美女たちだろうか、本当に悔いはなかったのだろうか、
などと思ってしまっているのは、ここだけの話にしておこうと思う。
今回も最後まで、お付き合いいただきましてありがとうございます。
本日も、ここへ足を運んでくださった皆さんに優しい風が吹きますように☆彡
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