先日、少し早いかな、どうかな、などと思いながらエアコンのスイッチを押した。
もちろん、暖房の。
温風がリビングを優しく覆っていく感覚が心地よく、もう少し早くスイッチを押せばよかったと思った。
窓から見える空は白く、気温がグッと下がったからだろう。
遠くの方に見える木々の葉が数日前よりも色付いたように見えた。
紅葉は、木が体を休める冬の間、激しい寒さや乾燥に耐えるための準備のひとつだと言われている。
葉っぱは、乾燥や寒さに弱い部位なので、葉のお役目をしばらくの間ストップさせるために、
葉を落とす落葉樹は、葉を冬休み前に全て落としてしまうのだそう。
ただ、葉のお役目をいきなりストップさせるわけにもいかないため、葉は、緑色から黄色へ、黄色から赤色へと変化しながら徐々に機能をストップさせ、葉が枯れて木から落ちたときが、お役目ストップの印だという。
このような表現が適しているのかは分からないけれど、木も様々な予定をクリアしながら生きているのだな、と思う。
紅葉と言えば黄色く色づいて散っていくもの、黄色から更に赤色に色づいて散っていくものとあるけれど、
ここにもちょっとしたカラクリがあるのだと、最近知った。
葉っぱの主なお役目と言えば光合成だけれど、木は、冬休みに入るための準備として、
葉っぱに含まれている、光合成をするために必要なクロロフィルを少しずつ減らしていくのだそう。
この緑色を作る元となるクロロフィルを減らすことで、
今度は、葉っぱに含まれているクロロフィルを助ける役割をもつ、黄色の元にもなっているカロテノイドの存在が際立つようになり、
私たちの目には、葉が黄色く色づいたように見えるのだそう。
そして、ここから更に赤色に色づく葉があるけれど、
これは、葉っぱの中に含まれている赤色の元となるアントシアニンの量が、
黄色の元となるカロテノイドよりも多くなってしまうことが原因だといい、
カロテノイドが増えたことにより、私たちの目には、葉が赤く色づいたように見えているというのだ。
このような視点から紅葉をみてみると、ただ単に黄色や赤色に色づいているのではないことが分かり、
木が冬休み入りするまで、あとどれくらいなのか。といったことを知ることもできるようだ。
普段見慣れた景色が、紅葉によって当たり前のように秋の景色に変化する日本だけれど、
景色がガラリと変わってしまうくらいの規模で紅葉を目にすることができるのは、世界中でごく限られた地域のみだと言われている。
そして、赤や黄色、様々なトーンの紅葉が混ざり合う美しい紅葉の景色を見ることができるのは日本のみ。
ここは、世界一美しい紅葉が見られる地なのである。
紅葉を美しい景色として眺めるもよし、
木を擬人化し、木が冬休み入りするまでをカウントダウンをしてみるもよし、
自由な感性と発想で今年の紅葉を楽しんでみてはいかがでしょうか。
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