電車に揺られていると、近くに立っていた女性たちが「声を選べたら良いのに」と話していた。
何となく漏れ聞こえてきた会話から察するに、スマートフォンに搭載されている、音声検索機能の声についての話のようだった。
女性は、声から様々な変化を読み取ることに長けているため、声に対して敏感だと言われることがあるけれど、私も彼女たちと同じことを思ったことがある。
自分の耳に馴染む声、馴染まない声、そのどちらでもない声、とあるのだ。
オーディオブックというものがある。
読書をする時間がない現代人や文字を読むことが難しい方などが、本を聴くことで読書を楽しむことができるものである。
私は1日の大半を、PC画面を見て過ごす日も少なくない為、本を読みたいけれど目を休めたいと思うことがある。
そのような時に、このオーディオブックの存在を知り、試しに利用してみることにしたのだ。
しかし、自分の耳に馴染む声に辿り着くことができず、このサービスを利用し続けることはなかった。
それから、どれくらいの月日が経ったのかは覚えてはいないけれど、先月、遅ればせながら
東芝が音声合成アプリを配信していることを、ニュースで知った。
これは、いくつかの例文を読み上げるだけで、その人の話し方の特徴などを分析し、その声を真似て様々な文章を読み上げることができるという。
そして、この技術にAI技術を合わせることで声や話し方も育っていくのだそうだ。
現在は、自分の声に様々な文章を読ませることができるという段階のようだけれど、
ゆくゆくは、いくつかの例文をプロや有名人などに読み上げてもらい、数ある声の中から利用者が好みの声を選び、
オーディオブックやカーナビ、その他施設案内の音声などにも利用できるよう、進化していく可能性が高いという。
子どもへの読み聴かせにも、このような技術を使う日がくるのかもしれない。
ただ、そうなると、良いことや便利なことばかりではなく、声が盗まれたり、悪用されるということが懸念されるため、これを防ぐ対策の準備も進められているようだった。
指紋や網膜だけでなく、声も盗まれないように気を付けなくてはいけなくなるのは、窮屈な気もするのだけれど、
私たちの手元に、このサービスが届く頃には、そのような懸念も全てクリアされているのだろう。
夢と一口に言っても色々とあるけれど、叶えられる夢の方が圧倒的に多いのかもしれない。
さて、今日は私のどの夢を叶えようか。
そのようなことを思いつつ、電車に揺られた日。
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