知人宅のお嬢さんは、私のことを美容師だと思っている。
彼女は、私の小さなオトモダチの一人なのだけれど、この世に飛び出してくる前から見てきた子である。
知人の出産の日が近づいていた当時、これからしばらくの間は、ゆっくりと2人で食事をすることも難しくなるだろうからと言ってランチへ出かけたのだけれど、
その小さなオトモダチは、知人のお腹を豪快に蹴り上げ、お腹のフォルムを歪ませるほどに元気な子であった。
生まれてからも、その豪快な元気さは健在で、豪快な遊びを好んでいた。
しかし時折、女の子らしさも覗かせるようなお年頃になり、私が一番苦手としているお人形遊びを要求するようにもなった。
私は、必要以上に子どもに合わせるということをしないため、
お人形遊びは、あまり好きではないのだと予め、正直に話すことにしている。
真直ぐな気持ちを真直ぐのまま伝えると、子どもは子どもなりに考えるのだろう。
それなら、お人形を使って違う遊びをしようと提案してくるのだ。
その子が考えたのは、着せ替えをして遊びたいからお洋服にあった素敵な髪形を作って欲しいというものだった。
プリンセス風が良いだとか、お姉さん風が良いだとか、デートの髪型が良いだとか、子どもなりの要望があるようで、
それを一つずつ叶えて遊んだその日から、私は彼女の中で美容師なのである。
本物の美容師はこんなものではないよと内心思いつつも、喜んでもらえれば悪い気はしない。
知人との食事やお喋りをたのしみつつ、美容師の真似ごとをしている。
ある日、知人がお人形を手にしながら、髪質がゴワゴワ、バサバサしてきたと言った。
我が子に、サラサラに戻して欲しいと言われたけれど、
そろそろ飽きてきそうなお年頃であることを考えると、買い替えるのも無駄な気がして躊躇していると続けた。
今回は、このような時の対処法を簡単に、と思っております。
お人形遊びが好きなお子さんと遊ぶ機会があるという方は、ちらりとのぞいていって下さいませ。
ひとつめは、洗面器に1カップほどの水を張り、トリートメントを溶かします。
ハンカチや薄手の布をトリートメント液に浸し、軽く絞ります。
髪の毛に付着した汚れを取るようなイメージで、このハンカチ(や薄手の布)を使い、お人形の髪の毛を内側からも外側からもしっかりと撫でます。
少し湿っている髪の毛の上からラップをして1日置き、自然乾燥させたら、ゴワゴワバサバサの髪の毛がまとまりある髪質に変化します。
この時に、注意しなくてはいけないのは、乾かす際にドライヤーを使ってはダメだということ。
繊維と熱によって、再生不可能なほどのダメージを受けてしまいます。
もう少し、時間に余裕があるという方は、
洗面器に1カップほどの水を張り、水の指触りがぬるっとする程度の柔軟剤を溶かします。
ここに、お人形の頭を浸して振り洗いし、櫛で髪の毛の絡まりなどを解します。
柔軟剤が行き渡ったら水できれいに洗い流し、髪の毛を整え、タオルに余分な水分を吸い取らせ、
少し湿っている髪の毛の上からラップをして1日置き、自然乾燥させたら、ゴワゴワバサバサの髪の毛がまとまりある髪質に変化します。
この時も、絶対にドライヤーを使ってはダメなので、髪の毛が完全に乾くまでは我慢です。
これは、お洋服などのお手入れ方法の応用編のようなものなのですが、
どこのご家庭にもあるもので、簡単にメンテナンスできますので、
小さなお子様のお人形にヘアトラブルが起きた際には、ちらりと思い出していただき、
大人の知恵という名の魔法でヘアトラブルを解消していただけたなら幸いです。
もう間もなく、知人のお嬢さんも、私の本職が美容師ではないということを理解できるようになるだろう。
そして、子どもの1年という時間は、濃密で衝撃的だから、そのような遊びからも卒業する日がくるのだろう。
あと何回、美容師の真似ごとをすることになるのかは分からないけれど、
ご要望ある限りは、精一杯全うさせていただこうではないかと、年末に会う予定を前に思うこの頃である。
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