米どころで作られたお煎餅をお土産でいただいた。
薄すぎず厚すぎない絶妙な厚みをしたそれをパリッと割ると、内側からお米の香りが広がった。
まるで、しっかりと焼き目がついたお餅の焼き目部分を食べた様な気分だ。
パリッ、カリッといい音をリビングに響かせつつ、お米のチカラを味わった。
その日、封を切ったのは柚子の香り付けが施されたお醤油が塗られた香ばしいものだった。
今の私たちにとって、お醤油と言えば、あって当たり前の調味料だけれど、もとは中国から渡ってきた「醤」である。
中国から日本に伝わってきた「醤」は、日本では味噌に姿を変えて定着した。
その、味噌を作る過程で上澄み液が出るのだけれど、先人たちはこの上澄み液を「たまり」と呼び、
今で言うところの、お醤油のような位置づけの調味料として使うようになったと言われている。
これが室町時代の頃の話だというから、これから更に変化を遂げたものが、現在のお醤油なのだけれど、
実は当時、「煎り酒(いりざけ)」と呼ばれる「たまり」のような調味料があり、江戸時代半ば辺りまでは、お味噌とセットで多くの方々に使われていたというのだ。
以前、江戸で食べられていた料理や、武士が口にしていた料理が江戸料理と言われて注目されることがあるという話に触れたことがあるのだけれど、
江戸料理に関する書籍を読み漁っていたときに「煎り酒(いりざけ)」というものがあることを知ったのだ。
しかも近年、この煎り酒が注目されはじめており、様々なブランドから商品化されているだけでなく、
材料も作り方も簡単だということからホームメイドする方も増えているということも知った。
煎り酒(いりざけ)は、日本酒に梅干(梅酢)や昆布、みりん、椎茸、鰹節などを入れ、煮詰めたもので、お醤油代わりに使うことができる調味料なのだけれど、
お醤油と比べると塩分が大幅に抑えられるだけでなく、その旨味が濃くてさっぱりとした味の虜になる人が出ているという。
私もすぐに興味をもち、簡単なレシピもすぐに入手することができたけれど、
私はこの煎り酒(いりざけ)という調味料は初めてだったこともあり、まずは、市販されているものを2本ほど使い比べてみた。
昆布や椎茸、鰹節といった食材の旨味がしっかりと感じられるため、
お醤油のような、はっきりとした塩味ではないものの、確実にそれとは異なる満足感がある万能旨味調味料のような印象を受けた。
塩分を控えつつも、美味しい食事を楽しみたい方や、
室町時代から続く味を楽しんでみたい方、
年末年始に摂り過ぎた塩分を我慢する形ではなく、美味しくセーブしたい方など、
ご興味ありましたら「煎り酒(いりざけ)」にトライしてみはいかがでしょう。
“健康も美味しさも楽しみ方いろいろ”でございます。
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