冬至の日、準備しておいた柚子を湯船に浮かべ、柚子風呂を楽しんだ。
柚子を購入した際に、柚子を入れる柚子袋もいただいていたのだけれど、
あの丸くて黄色い物体が、湯船にぷかぷか浮く姿を見ないままの柚子風呂は、何だか物足りないようにも思えたものだから、
袋は使わずに、丸ごとボトンッと投入した。
香りは、そのままでも十分に楽しめるけれど、柚子が温められて皮が柔らかくなった頃、
果汁が少し出してしまうくらいにギュッと握ってしまうのは、子どもの頃からの癖が抜けずにいるように思う。
柚子風呂は湯冷めしにくいと言われているけれど、確かに成分として、そうなのだと思うけれど、
爽やかな香りから離れがたく、無意識に普段よりも、じっくりと湯船に浸かってしまうことも、湯冷めしにくい要因のひとつではないかと、柚子の香りを吸い込みながら思ったりもする。
この時季ならではの贅沢な柚子風呂が好きで、毎年、少し多めの柚子を用意し、2日間ほど楽しむのだけれど、
今年は柚子が傷んでしまっており、1日のみの柚子風呂になってしまったことが残念である。
今の私たちにとっては、先人たちの風習が時に手間暇がかかり、面倒に感じることも無いわけではないのだけれど、
実際に体験してみると思いの外、心豊かな時間となるように思う。
先人たちの風習と言えば、冬至や小正月に「小豆粥(あずきがゆ)」を食べるというものがある。
もとは古の中国の風習なのだけれど、平安時代の頃には、一年間の邪気祓いと無病息災を祈る宮中行事となっており、
清少納言の「枕草子」や、その他の書物などにも小豆粥が登場する。
日本で「赤色」は邪を祓う力や生命力が宿っている色だと考えられていたのと同時に、
食材にも不思議な力が宿っているとも考えられていたため、
赤色をした小豆を、冬至や小正月といった節目に小豆粥として食べることで、
様々な赤色に宿る力を取りこむことができるということで定着したようである。
私は、この時季のお粥と言えば七草粥のイメージが強いため、これまで自宅で小豆粥を経験したことはない。
一度くらいはと思ってはいるものの、今年の冬至も機会を逃してしまったため、
来年の小正月(1月15日)には、小豆粥を経験してみようと、市販の茹で小豆缶を準備したところだ。
元日から七日までを大正月と呼ぶのだけれど、大正月の終わりには七草粥で胃腸を整え、
1月15日の小正月には、新たな1年の邪気祓いと無病息災を願って小豆粥を召し上がってみてはいかがでしょうか。
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