今年に入り「テフ」を混ぜ込んでいるパンを幾度か目にした。
私の記憶も既に曖昧になってきているのだけれど、スーパーフードとして話題になったキヌアと同時期に目にするようになった食材だったように思う。
紹介されている画像などを見ると、キヌアやアマランサスに似ているようにも見えるけれど、
現物のテフは、更に小さな粒のような、いや粒というよりは粉のようなと表現してもいいくらい、非常に小さくて地味な見た目である。
私は先にキヌアを食し、その栄養価と食感が気に入ったこともあり、自然とキヌア贔屓になった。
そして、いつの間にかテフという名のスーパーフードの存在を記憶から消してしまっていた。
それから数年は経っただろうか。
昨年末にテフの栄養価に触れる機会があり、年が明けたらテフを混ぜ込んでいるパンの登場である。
もうこれは、誰かに「一度でいいから食してみよ」と言われているような気がして、何度目かには、お目当てだったパンを諦めて、テフ入りのパンをトレーに乗せていた。
前置きが長くなりましたが、今回は地味だけれど栄養価に富んだ「テフ」のお話をと思っております。
ヘルシーで、栄養価が高く、味付けの邪魔をしない、トッピングとしても手軽に使うことができるスーパーフードですので、ご興味ありましたらのぞいていって下さいませ。
もとはエチオピアの方々が主食として親しんでいるテフ。
その歴史を辿ると、それはそれは古より食されてきた食材だという話を至るところで目にします。
これは、テフが、過酷な環境に置かれても逞しく育つ植物だったからでしょう。
ただ、このように自然環境に強く、栄養価が高いものがあることを知ると、良くも悪くも、多くの方々が飛びつくのが世の常。
テフは、世界中で注目された後に多くの方々が食べるようになったことにより、
一時期はエチオピアの方々の主食の確保が危惧され、エチオピアからの輸出が禁止されてしまったのだとか。
現在は、アメリカやその他の国々でもテフを栽培するようになり、
日本では、エチオピア産のものだけでなく、アメリカやその他の国々で収穫されたテフを購入できるようになっています。
きっと、流通経路が十分に確保されたlこともあり、身近な場所でテフの名を目にしたり、改めて注目されたりしているのでしょうね。
この、ゴマよりも小さい粉のようなテフですが、含まれている栄養素は、炭水化物やたんぱく質、脂質に食物繊維、ビタミンC、ビタミンB群に留まらず、
鉄分、カルシウム、亜鉛、カリウム、銅、リン、マンガン、ナトリウムといったミネラル、
必須脂肪酸や必須アミノ酸などまでもが含まれた、とてもバランスがとれた栄養豊富な食材です。
テフには、いくつかの種類があるため、種類によって栄養価に多少の差はあるものの、
鉄分量はホウレン草の4倍~8倍、カルシウムは牛乳の1.5倍などと言われているのだそう。
しかも、浮腫みの解消や美肌、貧血予防、骨粗鬆症予防、
コレステロールを適正に保つように働いたり、デトックス効果にまで働く栄養素がギュッと詰まっているのだから、世界中の方が飛びつくのも分かるような気がします。
食べ方は簡単で、お米1合に対して大さじ一杯を混ぜて炊いたり、ホットケーキやクッキーといったお菓子作りの際に生地に混ぜ込んだり、
スープやヨーグルトに混ぜるなどして、いつものメニューの栄養バランスを整えるようなイメージで使うと良いようです。
私が初めて経験したテフは、パン生地に混ぜ込まれていたのですが、お味は全くしませんでした。
テフが入っていますと言われなければ、テフが入っていることには気が付かないでしょうし、
トッピングに使ってあったとしても、芥子の実か何かかしらと思うくらいだったのではないかと思います。
しかし、栄養価は抜群ですので、好き嫌いが多いご家族のメニューに混ぜ込んだり、
思うように食事が喉を通らない時には食べられるものに混ぜ込んだり、
日頃の栄養の偏りを、ワンスプーンで無理なく整える。という使い方をするのも手ではないでしょうか。
正直、とても地味な見た目と味、食感ですが、テフを目にする機会、口にする機会がありましたら、
今回のお話をちらりと思い出していただきまして、一度、召し上がってみてはいかがでしょうか。
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