神社の広場に設置してある焚き火コーナーに人が集まっていた。
暗闇の中で、空へ向かって炎を伸ばしながら揺れる様には、確かに、癒し効果があるように思う。
以前、こちらでも触れたことがあるのだけれど、炎の揺らぎには人を癒す効果があると言われている。
他にも、焚き火の炎から放たれている遠赤外線には、私たちの体を芯から温める性質があるのだとか。
表面だけを温めるのとは異なり、体の内側に温かさの素を仕込むようなものであるため、
血行がよくなり、代謝があがることで、更に温かさが持続するという。
このようなことを改めて聞くと、先人たちには現代のような便利さは無かったけれど、
本当に必要なものや、それを作り出す知識のようなものは、しっかりと手にしていたのだろうと思ったりもする。
もう随分と前の話になるのだけれど、仕事をご一緒させていただいた方々と浅草にある浅草寺へ行ったことがある。
確か、遠方からいらしていた方が、「一度で良いから浅草の浅草寺へ行ってみたい」とおっしゃったことがきっかけだったように記憶している。
浅草寺と言えば、常香炉(じょうこうろ)と呼ばれる大きな香炉からモクモクと立ちのぼる煙を、自分の方へと両手で手繰り寄せて、
頭のてっぺんから体を包むようにしながら浴びることでも有名である。
香炉はお清めに使われる仏具のひとつなので、この香炉から立ち上る煙を、不調が出ている体の部位に浴びせると状態が緩和される、治るといった言い伝えがあるため、参拝客は、これを行っている。
私は当時、お寺で煙を浴びるのは、このような言い伝えがあるからだと思っていたのだけれど、
煙は、体に付着したり、体の中に入ることで、私たちの体内で悪さをしようとしている菌の活動を抑える効果があると知ったのだ。
もちろん、煙であれば何でもよしということではないだろうし、適量ということでもあるのだろうとは思うけれど、
煙を浴びることで抗菌効果や殺菌作用、更に抗酸化作用があるということである。
先人たちが、どこまで知っていたのかは定かではないのだけれど、単なる言い伝えだと思っていることの中にも、真が潜んでいると感じた日であった。
煙を浴びると、お洋服や髪の毛が煙を吸いこんで少々厄介だという心内の声も無きにしも非ず、ではあるのですが、
焚き火にあたる機会や、ご旅行の際に常香炉(じょうこうろ)から立ち上る煙を浴びる機会などありましたら、
煙の力を、ふわりと浴びてみてはいかがでしょうか。
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