昨年の冬至に楽しんだ柚子湯。
いつもは2日間ほど楽しむことが多いのだけれど、昨年は思っていたよりも柚子の傷みが早く、1日のみとなった。
1日だけでも楽しめたのであれば御の字ではないかと、気持ちを落ち着かせていたはずなのに、
その後、足を運んだスーパーの陳列棚に並んでいた柚子に吸い寄せられ、
自宅キッチンには、ゴロゴロッと柚子が積み上げられていた。
しかし、どうしたことだろうか。
気分は柚子湯ではなくなっていたのである。
柚子は、爽やかな香りと酸味、色鮮やかな皮色から、日本食にアクセントを添えてくれる食材である。
今でこそ、露地もの、ハウスものを合わせれば、1年を通して「青柚子」「黄柚子」と楽しむことができるけれど、本来は強く季節を感じさせる食材だったという。
そのような状況を想像すると、先人たちにとっての冬至の柚子湯は、それはそれは贅沢な、スペシャルバスだったに違いないと思う。
以前、この時季の黄柚子を楽しむ際のポイントは皮だとお伝えしたことがある。
柚子には、ビタミンC、カリウム、鉄分、ミネラルなどの栄養素が豊富に含まれているのだけれど、
どちらかと言えば、果肉や果汁よりも皮に、これらの栄養分が多く含まれていると言われているからだ。
しかし中には、柚子を買ってみたは良いけれど、新年を迎えた辺りからみるみるうちに実が萎んで、皮もハリがなくなり柔らかくなり、
全てを上手く使いきることができなかったという経験をした方もいらっしゃるかもしれない。
実はこの、実が萎んでハリも失われたように見える状態こそが、柚子が熟したサインなのだ。
何方の書籍だったのか記憶にはないのだけれど、偶然手に取った書籍内でこのことを知った私は、
敢えて柚子が萎むのを待ち、実際に食材として使ってみたことがある。
そして、本当だと静かに感動して以来、柚子がキッチンで萎んできても、皮からピンッとしたハリが失われても、早く使いきらなくちゃと焦るどころか、「いい塩梅に熟しておくれ」と思うようになった。
柚子を料理に使うといっても、柚子はアクセントとして登場する名脇役なので、使用量は知れている。
そのような時には、まず柚子を絞ってしまうとよい。
そこに少量のお酢を注いだら、味を見ながらお醤油を足していく。
最後に、鰹節を旨味と香り付けに混ぜ合わせてポン酢にしてしまうのだ。
ポン酢を適量取り分けて、ここに少量のごま油やオリーブオイルなど、お好きなオイルを混ぜ合わせれば、あっさりとしたドレッシングにも。
更に、柚子果汁を絞り終えた皮は、直ぐに刻んでハチミツかお砂糖を合えて5分ほど置けば、
そのまま摘まんでよし、紅茶やヨーグルト、トーストと合わせてもよしと言った、さっぱりとしたジャム風の一品が出来上がる。
私の目的は、どちらかと言えばポン酢よりもこちらの一品だ。
今回のジャム風の一品には、ハチミツではなく奄美大島の島ザラメで和えてみた。
ハチミツとは異なる、島ザラメのこっくりとした深い甘みと柚子皮の苦味がクセになりそうな一品に仕上がった。
料理研究家の方々が、柚子は丸ごと召し上がれと口を揃えて仰っているけれど、この2品を作ると毎回、「確かにね」と思う。
まな板の上に残るは種のみというのも、妙に心地よい。
柚子は、多少萎んでしまっても、皮からハリが消えても大丈夫です。
分量も、味を見ながら、その時々の気分で配合すれば十分ですので、気負わず、気軽な気持ちでトライしてみて大丈夫。
ご興味ありましたら、年初めの小さなトライとして、黄柚子の旬が終わる頃までに柚子を丸ごと召し上がってみてはいかがでしょうか。
本年も、小さなトライがあなたの日々を豊かに創造してくれますように☆彡
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