子供向けイベントにでも行った帰りなのか、小学生くらいの子どもが、大きな袋を抱えて歩いていた。
その日は、似たような子どもを何度も目にしたのだけれど、大きな袋の中身は皆、綿菓子である。
パンパンに膨れた袋の中いっぱいに広がる雲のような綿菓子。
家に帰って袋を開けた瞬間に広がる甘い香りと、ふわふわの肌触りと食感に彼らはとろけるのだろうか。
それとも、口の周りや手がベタベタになり、大きな綿菓子から卒業するのだろうか。
子どもの頃、赤と白のストライプ柄が渦状に巻かれた棒付きキャンディーが好きで、幾度か手にしたことがある。
手にしただけで気分が高揚する何とも不思議なアイテムだったように思う。
しかし、食べきることが難しいことや食べ難いことを知り、
かといって食べる前に砕いてしまっては高揚していた気持ちが一瞬にして消えてしまうことなども幾度か経験し、これは眺めて楽しむものだと悟った私がいる。
あの大きな綿菓子もきっと、大人になるための通過儀礼のひとつなのかもしれない。
少年少女たちよ、存分に楽しんでね。
彼らの背中に向けて、そのようなメッセージを送りつつ眺めていると、ディズニーキャラクターの人魚、アリエルがプリントされたパッケージを目にして、
いつだったか、「人魚は一匹?一人?どうやって数えるの?」と、友人の、当時はまだ幼かった子どもに尋ねられたことを思い出した。
改めて尋ねられると答えに困る質問というものがあるけれど、これもそのひとつだった。
陸の上では一人、水中では一匹だろうかなどと思考を巡らせてみたけれど、人魚を一匹、二匹と数えたことはないという経験から、一人、二人と数えるのだと答えたのだけれど、
その後、自分の答えに自信が持てず物の数え方に関する書籍で調べてみたことがある。
そこで分かったことは、
私たちは、空想上の生き物を数えるときには、あるルールを用いて数えているということ。
空想上の生き物といっても様々なのだけれど、
例えば、今回の人魚姫のように人間と他の動物の要素をあわせ持った存在の場合、特にその数え方に迷うけれど、
人間と同じように言葉を発したり、人間と同じような心の動きがみられる存在に対しては、
自分たちと同類の存在だとみなし、一人、二人と数えるのだそう。
その一方で、先日の節分の時に登場する鬼という存在の場合は、
その存在が邪悪なもので人間に害を及ぼすようであれば一匹、二匹と数え、
もとは邪悪な存在だったとしても、後に人間味あふれる良き存在になった場合は、鬼であったとしても一人、二人と数える傾向にあるというのだ。
空想上の生き物を数えるときのルールという視点で言うならば、人間的な容姿や人間的な性格を持ち合わせていれば「人」を使い、
邪悪なものは「匹」ということが一般的な基準ということなのだけれど、だが、しかし……、人間も様々である。
そのようなことを思ってしまった私は、それなりに世の中を知ってしまったのだろうなと思った調査結果だったことを思い出した。
このように、存在に対しての数え方のルールというものはあるのだけれど、
自分が、その存在に対して無意識に抱いている印象が少なからず関わっていることもあるため、
自分がどう感じているのか、という視点で空想上の生き物を見直してみるのも面白いのかもしれない。
空想上の生き物に触れる機会がありましたら、今回の話題をちらりと思い出していただけましたら幸いです。
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