先日、スマートフォンの機種変更をした。
大きな不具合が生じた訳ではないのだけれど、前回の機種変更時は、スマートフォンが突然だんまりを決め込んで動かなくなったことから変更するに至ったため、
今回は、そうなる前に自主的に早期変更したわけである。
新しい相棒の扱いにも慣れた頃だ。
友人へ送るメッセージをしたためている途中で「とん」と平仮名を入力したところ、予測変換機能が働き「頓珍漢」という漢字が登場した。
ん?漢方薬の名前みたいな字並びだと思いつつ、今一度その文字を目で追った。
「とんちんかん」と読めるけれど、この表記で合っているのかしら。という素朴な疑問から調べてみると、「とんちんかん」は「頓珍漢」と表記するのだと改めて知った。
それにしても「とんちんかん」という言葉、随分と久しぶりに目にしたけれど、今でも需要はあるのだろうかと余計なお世話的思考を巡らせながら、ついでに語源などをのぞいてみることにした。
「とんちんかん」と言えば、言動が的外れである様や、ちぐはぐな様、そのような人などを表現する言葉だけれど、
もとは、鍛冶屋のハンマー、いやここでは槌(つち)という表現の方が相応しいだろうか。
その、槌の音を真似た擬音語なのだそう。
鍛冶屋の親方がリズミカルに鉄を打って刃物か何かを作っている様子を想像していただきたいのだけれど、
その親方が鉄を打つ合間、合間に、弟子も槌を打ち、交互に鉄を打つ作業がある。
このとき、お互いの呼吸が合えば、音やリズムにズレが生じることはないけれど、ズレが生じたときのリズムが崩れたときの音を真似たものが「とんちんかん」という擬音語だという。
そして、この状況から、言動が的外れである様や、ちぐはぐな様、そのような人などを表現する際に使われる言葉として定着したようだ。
では、どうして「頓珍漢」と書き記すのかということだけれど、ここには大した意味は込められておらず、単なる当て字なのだそう。
それならば、もともと擬音語なのだから、わざわざ漢字を当てなくても……と思ったのだけれど、このような見当違いも含めて「とんちんかん(頓珍漢)」という表現なのかもしれないと、勝手に思ったりもして。
日本には、「とんちんかん」のような響きの言葉が多数ある。
私の脳内にぱっと思い浮かんだ言葉は「あんぽんたん」で、こちらもきっと、似たような着地点なのだろうと勝手に予測したのだけれど、意外にもこちらは、しっかりとした語源を持っていた。
スマートフォンの予測変換機能の進化には目を見張るものがあるけれど、私自身の予測機能はまだまだのようである。
新しい相棒を手にそのようなことを思った日。
画像をお借りしています:https://jp.pinterest.com/