歩道を歩いていると「カラスに注意」というプレートがあった。
プレートは、とあるマンションのゴミ捨て場の金網に金具で留められていた。
プレートの注意書きに誘われるがままゴミ捨て場を見渡すと、以前は開け放たれていたであろう上部は、緑色をした真新しいネットで覆われていた。
ゴミを荒らされたか何か、カラストラブルが起きプレートとネットを設置することにしたのだろうと直ぐに分かった。
もう随分と前の出来事なのだけれど、当時仕事をご一緒していた方のお子さんが、カラスに悪戯をした翌日から、通学途中に狙われてしまうようになったという話を聞いたことがある。
悪戯というのは、「カラスを驚かそうと小石をカラスに投げた」というもの。
お子さんは、小石をカラスに直接当てようと思ったわけではなかったため、当たらないように配慮した上で投げたらしいのだけれど、
運悪く、投げた小石が地面に落ちた瞬間跳ね返ってカラスに当たり、驚きと怒りがカラスの中に芽生え、仕返しのタイミングを狙われ始めたのだ。
帽子を被ったり、変えてみたり、マスクをしたり、服装を変えたり、傘をさしてみたりと、変装とも言えるようなことを思い浮かんだだけ試したそうなのだけれども、
カラスは、そのお子さん目掛けて飛んできて帽子を取り上げたり、頭を突こうとしたりするのだと仰っていた。
あの立派なくちばしと鋭い爪、想像以上に逞しくて大きい体つきは、大人から見てもドキリとする風貌であるから、悪戯をしてしまった子どもは悪戯したことを猛省したに違いないと思う。
結局、カラスの怒りが収まるまでは車での送り迎えをすることになったといい、親が車での送迎から解放されたのは、それから一か月ほど経ってからだったように記憶している。
解放後、その方の口癖に「カラスには気を付けろ」が加わったのは言うまでもない。
そして、その出来事を共有した私は、いつからか、カラスを見かけたときには、出来るだけ目を合わせないようにしてやり過ごすようになった。
以前、カラスは40種類ほどの言葉を使い分けてコミュニケーションを取っている鳥だという話題に触れたことがあるけれど、
先日は、公園にある水道の栓をひねり、水を飲んだり水浴びをするカラスがいるというニュースを目にした。
カラスは、水を飲むときには少しだけ栓をひねり、水浴びの時には大きくひねるなどしていることから、栓のひねり具合で水量が調節できることを知っているとのこと。
このカラスの行動を観察して発表した、鳥類学を研究している大学教授によると、
都市で暮らしているカラスは、人の行動をよく観察していることから、今後も人が作った道具を様々な形で利用する可能性があるという。
このような話題に触れると、以前お仕事をご一緒した方の口癖、「カラスには気を付けろ」を思い出す。
賢いというだけで悪い鳥だということではないのだけれど、カラスは意外にも執念深いからなとも思うのである。
皆様も、カラスに遭遇した際には互いのテリトリーを侵さぬよう、ご注意あれ。
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