時々メニューの中に鯨料理が登場する飲食店で何度か目にしたことがある『毎月9日はクジラの日』という言葉。
日本には縄文時代からクジラを食してきた文化があるため、国外の人たちとは異なる視点も持っている。
毎月9日をクジラの日と制定した目的も、クジラをもっと食べてもらおうというものなのだそう。
私自身は、クジラの日を意識していたつもりは無いのだけれど、いつの間にか記憶の隅にインプットされていたことに気が付いたのは、先日のとあるニュースを目にしたからである。
とあるニュースというのは、フィリピンの海岸に打ち上げられたクジラの死骸の胃の中から、約40キロ分のプラスティックゴミが見つかったという海外メディアのニュースである。
海洋生物学者が、このクジラの死骸を解剖して胃の中から取り出したのは、買い物袋やお米の袋などのプラスティックゴミだったそうで、
クジラは、これらのゴミを大量に飲み込んでしまったことによって、十分な栄養を摂取できない状況になり、飢えと脱水により死に至ったという。
クジラの胃の中から、これほどにも大量のプラスティックゴミが発見されたのは初めてのことらしく、各国の政府に対して何かしらの行動を起こしてほしいという声も出ているそうだ。
以前、こちらでも海の中がプラスティックで占領され始めているという話題や、
1本の歯ブラシに使用されているプラスティックが自然に還るまでに要する時間は1000年以上だという話題に触れたことがあるけれど、
このクジラのニュースを目にし、海の中の状況は、私たちが想像する以上のスピードで変化しているのではないかと思った。
その後、フィリピンでも同じようなクジラの死骸が見つかり、そのクジラのお腹の中にいた赤ちゃんクジラも死んでしまっていたという。
欧州ではストローなどの使い捨てプラスティックを禁止する法案が既に承認されており、2021年までに施行されるというけれど、どの辺りまで禁止され、どのように禁止するのか。
「何とかする必要がある」という思いと、便利な生活を手放しきれない思いを行き来している私は、この動向を静観中である。
そうしていると、日本でも国の天然記念物に指定されている奈良のシカの胃の中から、人が出したゴミが見つかった。
このシカもクジラ同様に大量のゴミを口にしてしまったために、十分な量の餌や水分を摂取できず死に至った疑いがあるというニュースがあった。
人間がやらかしてしまったことは全く関係ない弱者から順に打撃を与え、いつか私たちに。
何かを得るには責任が伴うのだなと、今更ながら実感したニュースである。
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