私の前を歩いていた学校帰りの子ども達が、沿道に設置してあるプランターに植えられた花を指差しながら、甘い、甘くない、美味しくないなどと発していた。
何を思うでもなく、その光景を視界の一部として捉えながら歩いていたのだけれど、あるプランターの前で立ち止まり「ひとつだけ」と口々に言いながら、ツツジの花をぷちっと摘んで口に運んだ。
そして、これが一番だねと満面の笑みを浮かべている様子を横目に見ながら子どもたちの横を通り過ぎた。
あぁ、花の蜜の話をしていたのか。
彼らの発言の意味が分かり、少しのスッキリ感と共に目的地へと向かった。
ふと、排気ガスまみれのような気がする花の蜜に手を伸ばす子どもたちに対して、無粋なことを色々と思ってしまったのだけれど、
私の周りで最近話題に上った「無菌過ぎるよりは良い」という言葉を思い出し、子どもはあれくらいの冒険心があった方が良いのだと思い直した。
それに、子どもたちの横を通り過ぎた後に聞こえてきた「ごちそうさま」という声。
そう言われたら艶やかに咲いていたツツジも本望だろう、そのようなことを思ったりもして。
そう言えば、ツツジと言えば毒性をもった花としても知られている。
公園や沿道など、私たちが簡単に触れられるような場所に植えられているツツジは毒性を持たないツツジが選ばれているとは思うのだけれど、ツツジの中には毒性を持ったレンゲツツジというツツジがある。
このツツジは、蜜だけでなく花や葉っぱ、茎など全ての部位に毒を含んでおり、
誤って口にしてしまうと、しばらく経ってから吐き気や痙攣などの症状が出るため、扱いに注意が必要だと言われている。
もし、そのような症状が出てしまったとしても、医療機関で適切な処置をしてもらえば命に関わるようなことにはならないという。
このような植物の毒に対して、「自然」と近い距離感で過ごしている動物たちは、毒性を本能で察知するそうなのだけれど、
室内飼いが当たり前になりつつあるペットたちは、毒性よりも花の蜜の甘い香りにつられて口にしてしまうこともあると聞くから、
飼い主は、ツツジには毒性を持ったものがあることを記憶の片隅に忍ばせておいた方が良いように思う。
私も、この日見かけた子どもたちくらいの頃に花の蜜で遊んだ記憶があるのだけれど、ある日、ツツジには毒があるという話を聞かされて以来、
ツツジに触れた後は念入りに手を洗うことが習慣化していることに、この日の子どもたちを見て気が付いた。
桜が終わり、これからツツジの季節が始まります。
アウトドアシーンでツツジを目にしたり、触れる機会があるかもしれません。
そのような時には、「ツツジの中には毒性を持った品種もある」ということをお忘れなく。
今日も皆さんのもとに、優しい春風が吹きますように☆彡
画像をお借りしています:https://jp.pinterest.com/