今月に入ってから、涙活(るいかつ)という言葉を聞く機会が多い。
既に世の中に定着している言葉なので、今更ではあるのだけれど、涙活(るいかつ)とは、小説や漫画、映画などを読んだり観たりすることで涙を流すこと。
涙の研究は今も至る所で続けられているけれど、研究によって、私たちが流す涙にはストレスホルモンが含まれていることが分かっている。
この、脳内で分泌されるストレスホルモンは、私たちの気持ちを揺さぶったり、緊張させたり、強張らせたりする少々厄介な分泌物なのだけれど、
涙と一緒に排出されることから、泣くことはストレス解消に繋がると言われている。
他にも「泣く」という行為そのものには、ストレスによって高ぶった神経を沈める効果があることから、
ストレス解消と不安定な気持ちを穏やかな状態に整えることを兼ねた方法として、涙活(るいかつ)を薦める医師やカウンセラーが多い。
確かに、「泣くだけ泣いたら気になっていたはずのことが、どうでもよくなった」「泣いたらスッキリしてお腹が空いた」ということは多くの方が経験していることのように思う。
しかし、ただ涙が流れればそれで良いのかと言えば、そうではないという。
大きなあくびをしたときに涙が出ることがあるけれど、そのような涙ではなく何かしら気持ちが動いたことによって流れ出る涙に、その効果があるのではないかという見方が有力なのだそう。
だから、小説や漫画、映画などを読んだり観たりすることで気持ちを刺激し、柔軟に解すことによって流れる涙が注目されているのだ。
この時に選ぶストーリーは、どのようなものでも構わないそうなのだけれど、
感情移入できるもので最後に希望がキラリと輝くようなものであると、ストレス解消と気持ちのメンテナンスの成果もアップするのだそうだ。
泣くことは悪いことではないのだけれど、世代や育った環境、性格によっては、泣くことは良くないことだと感じてしまい、涙を体の中に押し込めてしまう方も多いというのは、よく耳にする話である。
体は泣いて不要な物質を一掃したいだけ。
それならば、この時間だけは体のことは体に任せて、体がしたいように好きにさせてあげよう。
体が望んでいることを私が叶えてあげる。
自分の体とは、そのような付き合い方をしてみても良いように思う。
何ごとも一人で抱え込みすぎずに、程よい距離感でのお付き合いというようなイメージだろうか。
私の友人にもいるのだ。
責任感が強く、一人で抱え込み過ぎてしまうタイプの友人が。
以前は、「泣いても良い、涙活がブームだとか言われてもねぇ……」と渋いリアクションだった友人なのだけれど、その友人が最近涙活(るいかつ)にはまっている。
その友人が先日、涙活(るいかつ)で手っ取り早く自己メンテナンスを行おうと、ラストでは希望がキラリと輝く古い映画を観たという。
しかし、ラストの記憶が間違っており、手に汗握りっぱなしで疲労困憊。日を改めて、涙活(るいかつ)をし直すことになったのだとか。
涙活(るいかつ)にも全力を注ぎまくる友人を微笑ましく思った日。
関連記事:
画像をお借りしています:https://jp.pinterest.com/