むふふふふ……、鶏肉専門店のショーケース前で思わず怪しさを解き放ちそうになってしまった。
理由はソリレスを見かけたからである。
ソリレスというのは、鶏の股関節近くというべきか腰骨近くというべきか、脚の付け根付近の窪んだところにあるお肉で、1羽からピンポン玉くらいの大きさのものを2個とることができる。
ただ、ソリレスを知らなかったり、鶏の構造をよく分かっていなかったりすると見つけることができずに骨と一緒に廃棄してしまったり、鶏ガラスープの材料として煮込まれてしまったりするため、
1羽からとることができる数の少なさと職人の知識や腕前が関係することから、希少部位として扱われている。
ソリレスの食感は、砂肝よりも歯ごたえがあるのだけれど、不思議と柔らかも感じられる食感で、味は噛めば噛むほど鶏の旨味が感じられ虜になる美味しさがある。
日本の焼き鳥メニューでは「ソリ」という名でみかけることが多いので、ソリレスではなく「ソリ」の名で既に親しんでいる方もいらっしゃるかもしれない。
ソリレスはフランス語。
意味は、「この部位を残す者は愚か者」「馬鹿はこの部位を残す」という意味の言葉なのだけれど、ソリレスという部位はそれくらい、見つけることや取り出すことが難しいということのようである。
フランスの方々は、この部位を大好物だと言う方が多かったように思う。
きっと、鶏を丸ごと料理する機会が多いため、ソリレスという部位が身近なのだろうと思う。
以前、話題に出した「アメリ」というフランス映画あるのだけれど、この映画の中にもソリレスが登場する。
この部位が希少部位でフランス人にとって大好物な部位であることを知った上で観ると、登場人物の心境の変化や思いの深さのようなものを感じられるのだけれど、
知らずに観てしまうと、日常のひとコマにしか見えないようなシーンである。
私は年に1度あるかないか、丸鶏のローストチキンを購入することがある。
その際、ソリレスを取りだそうと試みるのだけれど、未だきれいな形で取り出せたことがない。
次こそは、キレイに取り出してソリレスを堪能したいものである。
あれやこれやと話が飛び散らかっているけれど、ソリレスはとにかく珍しいため、丸鶏を購入するか、鶏のことを良く知っている料理人のお店に足を運ぶ以外、出会える機会がない部位なので、
その日、鶏肉専門店でソリレスを目にし、むふふふふ……となったのである。
丸鶏を召し上がる機会や、ソリレスやソリと呼ばれる部位に出会われました際には、ソリレスを楽しんでみるのはいかがでしょうか。
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