犬種が分からないのだけれど、時々、散歩中の白い大型犬とすれ違う。
可愛さの中に凛とした大和魂を宿しているようなお顔立ちは、ザ・和犬という雰囲気に溢れている。
その大型犬とすれ違う際にチラリ、犬と目が合うのだけれど「お前など眼中に無い」とでも思われているのか、すぐに前方へと視線を向け凛々しく歩いていくのだ。
前方から歩いてくる大型犬の姿が視界に入ったその日、久しぶりのすれ違いにドキドキしていると、飼い主が「たんぽぽ」と声をかけた。
歩きながらくーんとひと鳴きしたところをみると、あの大型犬の名は「たんぽぽ」である。
タンポポが咲く頃に生まれたのか、飼い主宅へやってきたのか、もふっとした白い体と綿毛姿のタンポポが重なったのか。
私に想像できる名前の由来はこのくらいだったけれど、優しい響きの、素敵な名前だと思った。
タンポポと言えば、今私たちが目にしているタンポポのほとんどは西洋のタンポポだと、いつぞやかに足を運んだ植物園で聞いたことがある。
詳細はすっかり忘れてしまったけれど、日本生まれの野生タンポポは外来種のタンポポとの勢力争いに負け、少数派になってしまったのだとか。
少数派になってしまった日本生まれのタンポポだけれど、綿毛が風に乗り、街中や至るところへ広がっており、運が良ければ山の中へ入らなくても公園や街中で咲いていることもあるという。
目の前のタンポポがどちらのタンポポなのかを見分けたいときには、タンポポの花びらの根元を束ね覆っている部分を見るのだそう。
上の画像を例にすると、タンポポの花びらの根元を束ね覆っている部分と茎の間にあるガクのような部分が、外側に反り返るようにカールしているけれど、
ここがカールしているタイプのタンポポは、西洋生まれとのこと。
一方の日本生まれのタンポポは、この部分がカールしておらず、タンポポの花びらを守るかのようにピッタリと本体にくっついているという。
パッと見ただけでは見分けがつかないけれど、裏側をのぞくとタンポポの個性を垣間見ることができるようだ。
毎年タンポポを目にしていたはずなのだけれど、大型犬の名「たんぽぽ」を耳にするまで、この、日本生まれのタンポポと西洋生まれのタンポポの話は、頭の中からすっかり抜け落ちていた。
今年のタンポポに、まだ間に合うだろうか。
黄色い小花を見つける度に、そのようなことを思うこの頃である。
皆さんも遅咲きのタンポポを目にする機会がありました際には、「お国はどちら?」そのような心の声と共に花びらの根元をのぞいてみてはいかがでしょうか。
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