サービスエリアに立ち寄った。
改装したばかりなのか、サービスエリアそのものが新しくできたばかりなのかは分からなかったけれど、そこは昔ながらのそれと言うよりは、洒落た雰囲気をまとっていた。
その雰囲気に煽られた私は、置いてある商品への期待値を自らグングンと押し上げて見回ったのだけれど、そこはサービスエリアである。
ブレない趣旨を納得するのと同時に、期待値を自らグングンと押し上げて見回った自分を静かに反省した。
子どもの頃はもっとワクワクしたのだけれど……と一抹の淋しさを感じながら、化粧室を目指した。
中へ入ると、ご年配の女性たちが女子高生のような、いや、ここは女学生と言うべきだろうか。
とても可愛らしい笑顔と弾む声を響かせながら、化粧室内の写真を撮っていた。
そこは素敵な雰囲気に仕上げられており、このサービスエリアの目玉がそこだったのだと知った。
しかし、その後私は、その場所に似つかわしくない1枚の貼り紙を発見した。
『トイレに唾を吐かないでくださいね』という貼り紙で、ご丁寧に4か国語で記されていた。
日本では時々目にすることがあるけれど、これは外国の方に通じるのだろうかと思った。
貼られているということは、清掃をしてくださる方からのお願いなのだと推測できるけれど、もとは、八百万の神々が宿る日本ならではの風習のひとつだったように推測している。
トイレと言えば、トイレの神様がメインで様々な物語が語り継がれているけれど、中には、トイレにはトイレの神様のほかに、火の神様や箒(ほうき)の神様もいるという話もある。
更に、この3人の神様は女性の出産に立ち会ってくださるそうで、女性はトイレをキレイに整えておくと良いとか、
男女を問わず、普段からトイレをキレイに整えておくと、自分が老いたときに3人の神様が力をかして下さるため、排泄に関する面倒を周りにかけずに過ごすことができる、といった話が続く。
様々な思いや意味などが混ぜ込まれている話なので、視点を変えることで気付かされることも多々あるのだけれど、
シンプルに、誰かを思っての行動は小さなハッピーの始まりなのだろうなと思う。
その誰かとは、自分の大切な人であったり、見ず知らずの人であったり、自分自身であったり、人以外の誰かや何か、であったりもするのだろうけれど。
サービスエリア内のちょっと素敵な化粧室でそのようなことを思った日。
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