今年に入ってから幾度か、この先、結婚式もデジタル化するのだろうかと感じる機会があった。
私がご招待を受けたわけではないのだけれど、知人が生まれて初めて結婚式の招待状を某SNSツールで受け取ったという。
ご祝儀も現金をご祝儀袋に入れて持参する方法以外にも、銀行振込やネット上の決済サービスの利用など、いくつかの方法を選ぶことができたのだとか。
とても合理的で、様々な人の手を煩わせることもなく、出席者は純粋に新郎新婦の新たな門出を祝うことのみに集中でき、ホスト側である新郎新婦は自分たちのために集まって下さった方々へのおもてなしに集中できるのかもしれない。
そうも感じた話題だったけれど、私は同時に味気ないとも感じてしまった。
それから数か月が経過した先日、ブライダル業界もデジタル仕様にといったニュースを目にしたのである。
そこには、招待状は専用ページへアクセスするためのURLをSNSで配信し、席次表やお食事メニューは席札に印字されているQRコードを各々が読み取り確認するというスタイルにすることでペーパーレス化が可能になり、
ご祝儀は事前振込や決済サービスを利用することでキャッシュレス化が可能になるというスタイルが紹介されていた。
招く側と招かれる側の様々な事前負担を極力軽くできるということで、結婚式のデジタル仕様は、結婚式というものの新たな常識になる可能性を秘めたスタイルとして注目されているという。
昨今、自宅のPCモニターの前に自分の分の飲み物と食べ物を準備して行われるオンライン飲み会も増えてきているけれど、そのうち結婚式も、実際に式場へ赴く必要もなくなりオンライン出席というようなスタイルになるのだろうか……と思ったりもした話題である。
結婚式に限らず、各々が自由に、自分が欲するものを選んでいく時代なのだろう。
お作法が不要になり、できる限りの手間暇を省いた末に残るもの、見える景色はどのようなものだろうか。
今はまだ、この手の結婚式は少数派のようだけれど、諸々が無くなっても、残る思いや繋がりが変わらずにあればいいのだけれど。
自分自身を見失わないように、自分の声を聞く力や選び取る力が増々必要になるけれど、程よい匙加減を見つけるのは容易ではない。
世の中をちらりのぞき見して、そのようなことを思った日。
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