友人が何気なく発した「下さい」と「ください」の使い分けの話がある。
簡単に説明すると、漢字を交えて書き記す「下さい」は、英語で言うところの「ギブ」の意味を持った丁寧語という位置づけなので、「下さい」は、相手に対して何かを求める際に使うものなのだそう。
例えば、キャンディーを下さい、切手を下さい、紙を下さい、等々である。
そして、もう片方の平仮名で書き記す「ください」は、英語で言うところの「プリーズ」の意味を持った丁寧語という位置づけなので、「ください」は、相手に対して何かお願いをする際や、敬意を表す際に使うもので、
こちらも例を挙げると、お召し上がりください、お越しください、お気をつけください、等々なのだそう。
私もこの話をビジネスマナーのひとつだと見聞きしたことがあり、職業柄、必要なシーンでは使い分けてはいるのだけれど、
私個人の考えとしては、どちらを使ったとしても、マナー違反だと強く指摘されるほどのものではないのでは?と思っている。
もし仮に、しっかりと使い分けなければいけないマナーなのだとしたら、出来立てほやほやに近いマナーで定着するか否かはこれからなのではないかと。
私は古い書物を読む機会が多いけれど、しっかりと使い分けられているという印象を抱いたことは無く、また、辞書や辞典等で調べてみても、そのような記載はないのである。
しかし、確かにビジネスマナーだと紹介しているマナー講師の方も多いため、少し調べてみたところ、
政府が公用文を作る際のルールとして定めたものが、新聞や雑誌などでも使われるようになり、そうなればビジネスマナーとして使い分ける必要があるという流れが起き、使い分けられなければマナー違反だといった文言を見聞きするようになっているように思う。
使用頻度が高いワードでもあるため、マナー違反といった厳しい内容を見聞きすると心を揺さぶられてしまうけれど、
公用文のような文章を作成する以外の場では、自由に使ってもいいのではないかと思う。
中には、漢字を交えて書き記す「下さい」は、英語で言うところの「ギブ」の意味を持っており、相手に対して「頂戴よ」と何かを求めることになるため、目上の方に使用する際には注意が必要だといった内容も目にしたけれど、
「“ください”ではなく“下さい”と記されていたから失礼だ」と腹を立てるような目上の方は、そう多くはいないのではないだろうかとも思ってしまった。
マナーは人を縛るためにあるわけではないと思っている私は、この使い分けに対しては窮屈さを感じるのだけれど、「下さい」と「ください」には使いどころがあるという流れが起きているのも事実。
使い分けが必要なシーンでは使い分け、それ以外では自由にその時のフィーリングで選ばせていただこうと思っている。
毎回選び取ることに対して不安があるという方は、「ください」の平仮名に統一してしまうという手も。
日常のやり取りで神経質になる必要はないと私個人としては思うのですが、このような流れでできたマナーがあります。
ちらりと知ってさえいれば、必要なシーンでは頭の片隅から引っ張り出して使うこともできますので、各々の知識ボックスに忍ばせておいていただければと思います。
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