所用を片付けるため、私にとって休日の醍醐味である二度寝を手放し、朝から外出した。
その日の日差しには、肌の奥までじりっと焼いてしまいそうな強さがあったけれど、流れる風は程よく冷たくて、このまま遠出したいと思った。
全てが予想以上にスムースに片付いたものだから、少しだけ遠回りをして帰ることにした。
時間を気にしないオトナのミチクサだ。
このような癖は、なかなか治らない。
子どもの頃も、予め決められている通学路をこっそり変更し、道草をしながら帰宅していた。
活発な子どもというわけではなかったけれど、行く先々で様々な一期一会の出会いがあるものだから、同じ時刻に帰宅するということができず、道草が大人たちにバレるということが幾度もあった。
しかし、子どもは子どもなりに考えるのだ。
道草をしない日も、ゆっくりゆっくりと歩いて帰宅し、私はこれだけ時間がかかりますアピールをする。
そして、そこで出来た時間の余裕を道草に充てるのである。
子どもながらにナイスアイデアと自画自賛するも、洋服に道草の痕跡を残したまま帰宅するものだから、母親には直ぐにバレてしまうというありがちな日々を、幼少期に送っていた。
それから少しだけ大人になった頃、私の道草癖は相変わらずだったけれど、友人たちとその手の幼少期エピソードを語り合う機会があった。
中には道草をすることよりも、毎日同じ時間にピタリと自宅に到着することに快感を覚えていたと言うタイプや、道草にもピタリと到着することにも興味をもったことがないというタイプもいて、その時にも人はそれぞれなのだなと感じたように思う。
そのようなことを思い出しながら道草をしていると、桜の花を見つけた。
桜と言えば春のイメージが強いけれど、秋から冬にかけて咲く冬桜という桜がある。
品種までの知識はないのだけれど、冬桜は10月から年明けくらいまで咲き、暖かくなる4月頃に再び開花するという。
初めて目にしたときは、この桜は狂い咲きしたのだろうかと気になったけれど、桜も「桜」と一口に言ってもそれぞれのようである。
この時季から咲き始める冬桜も、誰が見てもすぐに桜だと分かる咲き姿をしています。
慣れ親しんだそれと異なる部分と言えば、やはり秋の日差しに照らされている姿でしょうか。
あとは、場所や開花時期によっては紅葉と一緒に楽しめるレアなケースも。
桜の様な花を見かけた際には、秋に桜だなんて気のせいだと思い込んでしまわずに、近づいてみてはいかがでしょうか。
人も桜もそれぞれでございます。
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