キッチンバサミの切れ味が鈍くなったように感じたのだけれど、過去に切れ味が良すぎるキッチンバサミで大失態をおかしてしまった記憶がチラつき、切れ味が良すぎるよりは、可もなく不可もなくという状態を選び使っていた。
すると今度は、作業用バサミの切れ味も鈍くなってきたため、この機会に、いつぞやかに刃物職人の方に教えていただいた幾つかのお手入れ方法で刃物のお手入れをしておくことにした。
まずは、小さなハサミから大きなハサミまで、家中のハサミをかき集めてみたのだけれど、思う以上に多くのハサミを所持していることに驚きつつ、ハサミの精鋭部隊を結成すべく断捨離も行った。
そして、いざ、切れ味復活のお手入れである。
一番手っ取り早いのは、5~6枚ほど重ねたアルミホイルを4~5回ほど切るという方法だ。
1枚だと柔らかいアルミホイルも5~6枚重ねると、それなりの厚みと強度が出るため、怪我をしてしまわないように細心の注意を払いながら切らなければいけないのだけれど、これだけでも十分に刃物の切れ味が復活するように思う。
包丁もアルミホイルを切ると切れ味が復活するけれど、切りにくい場合は、アルミホイルを適当にくしゅくしゅっと丸めたものを切るように刃を滑らせでも同じ効果を得られる。
どうして刃物のお手入れにアルミホイルなのか。
これは、アルミホイルの原料となるアルミニウムは、低温で溶ける性質を持っており、アルミニウムを切るときに出来る摩擦熱でも溶けるという。
そして、この溶けたアルミニウムが、刃物にできている目には見えない細かい傷に入り込んで表面を滑らかに整えてくえるため刃物の切れ味が復活する仕組みなのだそう。
切れ味の他に気になる点と言えば、刃先の汚れや錆びつき。
こちらは、コルク(ワインの栓や不要になったコルクコースターなど)を水で濡らして研磨剤を付けた状態で刃を擦ると、汚れと一緒に錆も落としてくれるのだ。
コルクは先日も、『コルクの木は縁の下の力持ち。』のタイトル内で触れたとおり、限りある資源のひとつなので、第二のお役目として刃物のお手入れに使用してから破棄するのも良いように思う。
これらは全てメジャーなお手入れ方法ではあるのだけれど、刃物職人の方のお話によると、刃物は切れ味が落ちてきたら新しいものに買い替えるという風習が日本に定着しつつあり、このようなお手入れを一度もしない方も増えているのだとか。
しかし、買い替えるにしても、このちょっとしたお手入れを行うだけで、刃物本来の切れ味で作業を行うことができるため、日頃の作業をストレスフリーで行うためにもおすすめだという。
形ある物は、いつかその形を失うときがくるけれど、その時がくるギリギリまでは良き相棒で。
そのようなことを思いながら、我が家のハサミを復活させた日。
画像をお借りしています:https://jp.pinterest.com/