陳列棚に並ぶアーモンドを眺めていたら、久しぶりに殻付きアーモンドを食べたくなった。
初めて殻付きを食べた日のことは記憶からすっかり抜け落ちてしまっているけれど、殻付きのそれを口にした時、味と香りの濃さに驚いたことを覚えている。
塩がまぶされたローストアーモンドは、殻を剥いてローストした後に塩をまぶすけれど、殻付きのアーモンドは殻ごと塩水に漬けた後、殻ごとローストしてある。
このため、殻付きアーモンドには過剰な塩味が付くことがなく、殻の中に閉じ込められているアーモンドの味や香りを存分に楽しむことができる一品だ。
アーモンドの味そのものが好きだという方は、殻付きタイプに慣れてしまうと、殻無しタイプでは物足りなくなるという。
私は、どのようなタイプも美味しくいただくクチである。
それでも、殻付きのものを見かけると「久しぶりに殻付きでも!」という気持ちになるのだから、殻付きには、目には見えないアーモンド本来の魅力がギッシリと詰まっているのかもしれない。
購入予定ではなかったアーモンドを前にして、そのようなことを思い返していると、アーモンドに視線をちらりちらりと送りながら「前にみたアーモンドシャワーの動画、すごかったよね」と話す2人組の女性が私の横を通り過ぎた。
漏れ聞こえてきた文面から私が想像した映像は、結婚式でいただくアーモンド菓子のドラジェが降ってくる様子である。
ライスシャワーの代わりにドラジェを浴びせるイベントが盛り込まれた結婚式だったのだろうと思う前に、勝手に想像化してしまったのだけれど、
新郎新婦が、アーモンドをチョコレートやお砂糖のシロップでコーティングしたものをシャワーのように浴びたのだとしたら、確かにインパクトある光景だけれども、突っ込みどころ満載である。
そこで、アーモンドシャワーという言葉を調べてみたところ、アーモンドを収穫する際の光景のことだと分かったのだ。
アーモンドの実は、自力で落ちてくることがないのだそう。
だから、専用の機械を使ってアーモンドの実を収穫するそうなのだけれど、その収穫方法というのが、ハイテクともアナログとも言い難い方法なのだ。
まずはアーモンドの木の幹を専用の機械で掴み、次に掴んだ幹をぐわんぐわんと機械で揺らして強制的に実を落下させて収穫するというもの。
そして、この、アーモンドの実が木から地面に落ちてくる様子がシャワーのように見えることから、この光景はアーモンドシャワーと呼ばれているそうだ。
しかし、アーモンドが収穫される様子を初めて目にした私には、シャワーと呼べるような生易しい光景には見えず、さながら修行僧が打たれに入る瀧の様ではないかと思ってしまった。
しばらくの間、アーモンドを目にする度に殻付きアーモンドの美味しさよりも、アーモンドシャワーに打たれる修行僧を想像してしまいそうである。
アーモンドを召し上がる機会がありました際には、今回のお話の何かしらをちらりと思い出していただけましたら幸いです。
※アーモンドの収穫方法やアーモンドシャワーにご興味ありましたら下記の動画をどうぞ。動画は音が出ますので、閲覧環境にご注意下さい。
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