昨日、寒の入り(かんのいり)の話題に触れたのですが、今回は、この時季ならではの「寒九の水」のお話を少し、と思っております。
温かいお飲み物片手に、ひと息のおともにお付き合いいただけましたら幸いです。
今年(2020年)、1月6日から始まった寒の入りですが、この日から数えて9日目の14日の朝一番に汲んだ水のことを「寒九の水」と言います。
今は片手操作で簡単に水が出てくるので、特別な感覚を抱くことも少ないのですが、寒の内の間水は薬だと言われていたといいます。
そして、その中でも寒九の水は、一年のなかで最も水が澄んでおり、この日の水は腐りにくいとされ、薬効があると言われていたのだとか。
「水が薬になる」という表現は少々大げさに感じますけれど、真夏の水が腐りやすいことを思えば、この時季の水は安心且つ安全で体にも良かったということなのでしょうね。
私たちの感覚で見れば、蛇口から出てくる水の水質が日によってバラついていたら大問題ですけれど、自然から直に水を分けていただいて暮らしていた先人たちにとっては、実体験からくる確かな感覚の一つだったのではないだろうかと思ったりも致します。
しかし、寒九の水が現代人に全く無縁かと言われれば、そうではないようです。
名水と呼ばれるような水がある場所では、寒九の水の日に名水を汲み、この寒九の水を使ってお酒を仕込むという参加型イベントが催されていたり、寒九の水を汲みに行く旅行プランがあったりと、静かに熱く受け継がれています。
他にも、寒九の水を使って作られたお酒や、寒九の水の日に仕込まれたお酒を知らぬ間に口にしているという方もいらっしゃるのかもしれません。
ご旅行等で、この時季に名水を口にする機会がありましたら「寒九の水」だと思って、じっくり味わって、今年1年の健康を願ってみるのも楽しいのではないかと思います。
ただ、寒の入りは、その年によって異なるので「寒九の水の日」も日付が異なる点が少々厄介なところ。
私は、「寒九の水の日」を忘れてしまうことが多いのですが、毎朝白湯を飲んでいることもあり、この時季は時折、「寒九の水」のことを思い出します。
湧き水を汲んで沸かすでも、水道水を汲んで沸かすでもなく、ウォーターサーバーから出るお湯を直接マグカップに注ぐというズボラ白湯ではありますけれど、それでも、この時季に口にする水は寒九の水。
ありがたく、しっかりいただいて、体内に行き渡らせようと思っております。
今年(2020年)の寒九の水の日は1月14日です。
臨機応変に、しなやかに寒九の水を楽しんでいただければと思います。
暖冬だとは言え、もうしばらく寒い冬の日が続きます。
飲み物やお食事を通して口にする寒九の水で、健やかな冬の日をお過ごしくださいませ。
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