隠れ家へ向かうような気分にさせられる裏路地を通って目的地へ向かっていると、冬の景色には不釣り合いな向日葵が咲いていた。
きっと、向日葵に似た花だろうと思いながら近づいてみたのだけれど、どこからどう見てもそれは向日葵だった。
夏に咲いていた向日葵から零れ落ちた種が地中でひっそりと育って芽吹き、昨年末の下がり切らない気温につられて咲いてしまった、といったところだろうか。
しかし、冬は冬である。
スラリと伸びた茎の部分は、昼夜の寒暖差によって随分と傷んで黒く変色しており、今にもぐにゃりと崩れ落ちてしまいそうだった。
それでも、しっかりとそこに立って咲く姿には意志のようなものが感じられ、「きれい」を通し越して「かっこいい」という印象を抱かせた。
前を通り過ぎるまでの数秒ほどの一期一会だったけれど、冬の向日葵、ちょっとクセになりそうである。
そう思いながら歩いていると、前から園児の集団がやってきた。
すれ違う際に、園児たちへ視線を向けるとイベント中だったのか、全員がお揃いの四角い布を頭に乗せているようにも見える帽子をかぶっていた。
その様子が、頭に濡れタオルを乗せたチビッ子たちが温泉に浸かっているようにも見え、口元が緩んでしまった。
温泉や湯船に浸かる際に、頭に濡れタオルを乗せる方は、どれくらいの人数いるのだろうか。
と言うのは、昨年、温泉ソムリエになりたいと話す知人から頭に濡れタオルを乗せるのには意味があると聞いたからである。
私はてっきり、温泉に浸かる際に置き場所に困るタオルの仮置き場として頭の上を使っているのだと、長い間思ってきたのだけれど、このタオルには、「のぼせ」や「立眩み」を防ぐ効果があるというではないか。
しかし、ただ単純にタオルを頭の上に乗せておけば良いということではないようで、お湯を絞った温かいタオルと水を絞った冷たいタオルを使い分け、出来るだけ頭の広範囲を覆うようなサイズに畳んだものを乗せる必要があるそうだ。
入浴中に「のぼせ」たり、湯船から出る際に「立眩み」が起きる原因は、湯船の中で体にかかる圧力なのだそう。
私の体感としては、それほど強い圧力がかかっているようには感じないのだけれど、体感以上の圧力がかかっており、湯船に浸かっている間は血液が湯船から出ている頭に集まりやすいため、これが「のぼせ」を引き起こすのだそう。
だから、この「のぼせ」を防ぐためには、予め、水に濡らしたタオルで頭を軽く覆っておくことで頭に血液が過度に集中しないような状態をつくり、「のぼせ」を防ぐと良いという。
しかし、この時季の入浴中や露天風呂に浸かる場合は、体は十分に温まっているけれどお湯の中から出ている頭が冷えすぎて血管が縮こまっており、血液がスムースに流れることができずにムズムズしたり、ジンジンとすることがあるかと。
これは血圧が急に上がったり、脳貧血を起こしやすい状態でもあるため、このようなシチュエーションではお湯を絞った温かいタオルを乗せることで血管の縮こまりを緩め、血液の巡りをスムースにすることで快適に入浴することができるそうだ。
そして、湯船から出る際に起こりやすい「立眩み」だけれど、こちらは湯船に浸かっている間にかかっていた大きな圧力がお湯から出ると同時に緩められる反動で一気に血液が頭から足へと流れることが原因で起こるという。
だから、このようなときには、湯船から出る少し前に頭の上に温かいタオルを乗せて血の巡りをスムースにしておくことで、「立眩み」を予防したり緩和することができるそうだ。
頭に乗せる濡れタオルは、のぼせやすく、立眩みも多い私にとって入浴時の救世主となるのかもしれない。
昨年まで知らなかった頭に乗せる濡れタオル。
今夜辺り、ひっそりと自宅の湯船で試してみようと思うキッカケとなった裏路地での光景である。
入浴時の「のぼせ」や「立眩み」「血圧の急上昇」を気にしている方は、ちらりと参考にしていただけましたら幸いです。
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